「──…殺してよ、」


ベッドの上。汗なのか涙なのか俺の精液なのか分からないぐらいぐちゃぐちゃになってしまった不動は言った。もう何回も昇天してしまったからか既に焦点が定まっていない。



「鬼道チャンなら、出来るだろ──…殺し、て。」



こいつが何を思ってそんなことを言うのかなんて知らないし知りたくもない。俺はこいつが嫌いで嫌いで仕方ないんだ。だから俺が毎晩毎晩、こうして壊してやる。




「死にてぇんだ、だから鬼道チャン。」


「黙れ。」




それ以上喋るな。そんな目で俺を見るな。虫酸が走る。俺はとっさに不動の首に手を掛けていた。ぐっと力を入れる。奴の口から呻き声が聞こえた。



「殺してやるから、黙れ。」



俺がそう言うと不動はケタケタ笑いだす。喘ぎながら、苦しそうに、可笑しそうに。俺は気が狂いそうだった。──いや、多分もう狂っているのか。更に力を込めると奴の顔が真っ赤になって良い気味だと思った。




「…きど、」







『──…助けて。』


あの日の俺と不動が重なる。大嫌いだった、あの日の鬼道有人。弱くて脆くて繊細で。何で今そんなこと思い出したんだ?全部こいつのせいだ。腹が立つ腹が立つ腹が立つ。俺は首を絞めている手を緩めようとはしなかった。







その内、不動は泡を吹き始める。目が段々充血して、俺とお揃いだな、と言ってやった。聞こえていたのかいないのか知らないが、奴はただ俺をじっと見つめてニヤッと笑いやがった。腹が立って全身の力を込めて首を絞めてやった。




『──…助けて、お願いだから。』





不意に何かが折れるような音がして。

不動は口から真っ赤な鮮血を吹き出し。

そのまま、くてんと動かなくなった。





俺は何だか満足して、取り敢えずシャワーを浴びた。温い液体が体を駆け降りていく。奴の汗や唾液や涙が浄化される。





再びベッドに戻っても不動はさっきと同じだった。そりゃそうだ、俺が殺してやったんだから。奴の前髪を触ると、ほんの一時間前と同じように──生きていたときと同じように、汗なのか何なのか分からない液体で濡れていた。





俺は晴れ晴れとした気分で奴の前髪に新しい染みを作ってやった。奴が知ったら、俺と同じように泣いて喜ぶに違いない。







零度の感傷を握り締めて



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Die×inzm様提出


有難うございました。


100828

銀璽



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