──雨だ。

いや、土砂降りに近いか。

「練習は中止だ。」


監督の言葉に一番嘆いたのは円堂だ、間違いない。

俺は別に練習があろうと無かろうと関係ないに等しいから、ぼーっと宿舎から窓の外を眺めていた。どす黒い雲が立ちこめていて、まだ昼だというのに暗い。



「……、聞いていたか不動?」

「あ?」



食堂のテーブルの向こう側で他の奴らは何やら喋っていたが。


「何だぁ?」

「貴様、人の話ぐらい聞いておけよ不動!」


そんな輪のなかに俺が入っていくわけねぇじゃん、阿呆か!と鬼道クンをからかってやったら案の定むきになって言い返してきやがった。


「冷静さを欠くなと教わらなかったのか鬼道クン?」

「黙れ……!」


更に挑発に乗ってくる鬼道を佐久間が止めなかったら、あいつはきっと俺に殴りかかってきたかもな。そう思うと可笑しくて、何だか淋しくなった。








「…だから、今日は午後からの練習は休みにして明日の午前練習を早めに開始することになったから!」

「へぇー。」 

「、おい不動!」


円堂の説明を話し半分で聞いていると、鬼道がまた突っ掛かってきた。


「お前いつまでそういう態度で居るつもりなんだ!練習ぐらい参加しろ!」

「別に?良いのかよ、俺が練習に入っても?…おまえらの仲良しサッカーみてたら反吐が出るけどな。」

「……良い加減にしろ!」


ヘラヘラ笑っていると、遂には胸ぐらを捕まれた。やめろ!放っておけ鬼道!と周りから声がかかる。


「おーおー怖いねぇ鬼道クンはぁ──」

「人のことを馬鹿にするのも良い加減にしろ!」


土方に仲裁されなきゃ、本気で殴られたかもなぁ、なんて他人事のように思う。


他の奴らが鬼道をなだめているのを余所に、俺はまた窓の外を眺めた。









──仕方ねぇだろ、


そう思った。

そういう風にしか、他人と接触を持つことなんか出来ない。普通に接しろなんて、どうすればいいんだ?普通って何なんだ?


他人を嫌っているふりをして、本当は構ってもらいたい何て恥ずかしいこと言える訳が無いだろ。

俺と他人の人生は、きっと交わることなんて無い。永遠に平行線のまま、俺は孤独に生きるしかない。


だから、こうやって少しだけあがいている。それはいけないことなのか?





そんなこと、雨雲に聞いたってしょうがないだろうに。軽く目を閉じる。そのまま睡魔に飲み込まれた。このまま消えてしまいたいと、少しだけ思いながら。

















「…起きろ、不動。」

「……ぁ?」


気付くと窓の外は本格的に夜の暗さを呈していた。うわぁーっと伸びをする。豪炎寺が俺に構ってくるなんて珍しい。


「今何時だ?」

「10時。」


へぇ、と椅子から立ち上がると肩から毛布がずり落ちた。そんなものを被った記憶が無い。豪炎寺に尋ねてみた。


「これ、お前か?」


豪炎寺は不思議そうな顔をしていたが、やがてニヤリと笑った。


「俺じゃ……ないな。」

「あ?じゃぁ誰だよ。」

「……鬼道だろ、多分。」


思わず目を見開いた俺にまたニヤリと笑いかけて、豪炎寺はどこかへ行ってしまった。残された俺は、毛布を頭から被って馬鹿野郎!と呟くしかなかった。







そのを超えていく
 
(平行線が初めて交点を持つ瞬間、)


++++++++

Aの為にできること様提出。

P=parallel(平行線)とかどうですか。全く不鬼では無くなったけども←

素敵企画有難うございました!

101002

銀璽



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