ールズトーク


・女子会・ガールズトークです。
・メンバー:杏子、静香、祐菜、明日香、アキ、龍可。
・キサラさんは海馬くんといちゃいちゃしてるんじゃないですかね。
・ノーマルカップリングに繋がるような流れもあります。
・無駄に長い。




男子抜き、カフェでの女子会。ケーキをつまみながら、女子トークを繰り広げる。
メンバーは杏子、静香、祐菜、明日香、アキ、龍可が参加だ。


「もうさ、彼氏いいなあって」
「今は楽しくないって?」
「楽しくない訳じゃないけど、トキメキが欲しいじゃん!」

恒例の周りの彼氏持ちの子のノロケを持ち寄る。高校生で彼氏彼女という関係をつくりたいと思うのは普通だと思う。
龍可にはまだ早いのか、ケーキを食べながら他5人の話を聞いている。

「祐菜はアテムさんやバクラさんにアタックされてるじゃない」
「ええー?」
「アテムも昔から露骨だもんね」
「杏子ちゃんまで、何言ってんの」

祐菜を挟みながら、アテムとバクラが睨みあっているところは皆よく目撃するので知っている。しかし祐菜にとってはそこまで懸命に受け止めてはいないようだ。


「でもバクラさんて、ふらふらしてそうな感じします」


アキが紅茶を飲みながら、ふと思ったことを口にする。

「そうでもないのよ。ね、静香ちゃん」
「ええ。バクラさんは思ってるより一緒にいます」
「小さな頃からよくいてね。いないと思ってたらいつの間にかいるし、祐菜をからかってると思ったら慰めてたり…」
「祐菜ちゃんが落ち込んでるときも一番にバクラさんが気付いたり」
「ちょちょちょちょ、何言ってるの2人とも!やめてよー」


杏子や静香が色々と喋るなか、祐菜は話して欲しくない自分の過去を話されるのに恥ずかしいのか、慌てて2人の会話を遮る。
照れる祐菜は珍しい。それに明日香はクスクス笑い、アキと龍可は珍しそうに見ていた。ちなみに杏子と静香は小さな頃からよく知っているため、逆にからかう側だ。


「そんなこと言って!杏子ちゃんだってアテムのこと好きでしょ!」
「私が?バカね、憧れだけど好きとかじゃないわ」
「でも杏子さん、アテムさんのことよく見てますよね」
「それ、私も思ってました」

杏子が照れながら話すが、そこにアキと龍可が会話に入った。龍可も小さいながらに観察力はある。

「そ、そう?昔は好きだったんだけど、今は違うのよ、本当に」
「そういえば、兄が杏子さんのことを気にしてたようですけど」
「吹雪さんが?」
「へえ…杏子ちゃん、よかったじゃん」

明日香の一言で、今度は祐菜から杏子へとターゲットが変わった。静香までがニコニコとして話している。妹である明日香からの情報なら高い確率であっているだろう。

「もう!そういう明日香ちゃんも十代くんが好きでしょう?」
「え、わ、私ですか?」
「よく十代くんのこと見てるよね」
「静香ちゃんまでっ」

静香も以外と恋愛の話がすきなのか、ふふふと笑いながら楽しく会話をする。次々と変わるターゲットに龍可も楽しそうに聞いている。

「十代さんも祐菜さんによく絡みますけど…ああ、それはヨハンさんもね」
「あのね、アキちゃん…いちいち私を出さないの」
「事実です」

ケーキを少しずつ食べながら、アキもしらっと言い放つ。年上に対しても退かない態度が、この中では好ましく思われている。むしろかかってこい体勢である。

「十代はヨハンにくっついてるだけでしょ?」
「私にはそんなふうには思わないけど」
「静香ぁ!」
「私は別に、十代と付き合いたいとかじゃないから。いいのよ」
「明日香さん…」
「万丈目のお兄ちゃんも、明日香さんのこと好きだよね」
「そうよ、明日香ちゃん。万丈目くんはどうなの?」


そういえばと龍可と杏子が万丈目のことを問うが、明日香はこれといって万丈目にはないようで。彼も凄いわよね、なんて言っている。
万丈目の頑張りや思いを何気に知っている祐菜は明日香の軽い受け止めに、万丈目を哀れに思う。それと同じことを周りに思わせているとは、祐菜は知る由もない。

「でも個人的に、しっかりしている明日香さんにはジャックをビシッと飼い慣らして欲しい気も」

アキのポロッと零した言葉に反応したのは祐菜。ジャックを誘導している明日香を想像してブフッと反射的に笑ってしまった。

「確かに、明日香ちゃんしっかり者だもん」
「ジャックくんねー ありかも」
「本人置いて話を進めないでくださいー!」

広がっていく話に明日香も照れて仕方がないらしい。ほんのり染まっている頬がその証拠。


「ねぇ、アキちゃんはどうなの?」
「えっ?」
「あれ、遊星くん、好きなんじゃないの?」

遊星…と呟いて口元に手を当てた。そのまま考え込むアキに、誰もが続く言葉を待っている。

「すき…?」
「ええっ もしかして自覚なし?」
「すごいわね」
「ドキドキとか、つい目で追っちゃうとか、遊星くんにないの?!」

他人からみたら、ああ好きなんだろうな、と感じるアキの視線だが、本人は無自覚らしい。

「だって遊星は、祐菜さんのことをよく見てるから」
「へっ?」
「祐菜…罪な女ね…」
「鬼柳くんも祐菜のこと、すきね」
「静香はなんでそんなよく見てるのさ!」

まさかそんなことはない。遊星くんはいい子だと思ってる…機械系得意だからよく直してもらってるし。勿論ブルーノくんも一緒に。特にそんな様子はない、と思っている祐菜だが、遊星は密かに思いを寄せているのは確かだった。
鬼柳も鬼柳でよく祐菜につっかかる。これも好きだからつっかかるわけだが。喧嘩もよくするが、話しやすく気が合っているのは周りも認めている。


「祐菜さんモテモテ!」
「これが世に言うモテ期か…」

額に手を当てる祐菜だが、素直に嬉しく思えない。私もいつもいるメンバーに恋心を抱けるかと聞かれれば抱けない、と即答する。友人の恋路は応援したいのだ。いや、私よりいい子いるだろ!と言ってやりたい。

「ね、静香ちゃんはいないの?気になる人」
「私…?」
「明日香、いいところに気が付いた!」

静香からはそういうことをあまり聞かないが、原因は兄の城之内にあると昔から杏子、祐菜共に気付いている。静香はそんじょそこらの男にはやらねぇ!と言う具合なので、幼馴染の中ではため息もの。

「城之内くん防御はどうなの?まだ堅いの?」
「お兄ちゃん?んー」
「城之内ね、私もそろそろいいんじゃない、とは言ってるけど」

ねえ?と杏子と祐菜は言葉を重ねてため息を吐いた。

「私、クロウくんが結構いいと思うんだけど」

明日香が言うには、静香はしっかりしているし年下でも十分対応できるんじゃないかという。クロウは面白いけどそれなりにしっかりしているし、ということで。

「クロウはちょっと馬鹿だけど、似合ってる気がします」
「年下ねー どう、静香?」
「そ、そんな、どうって言われても」

自分のことには滅法弱いらしく、静香は顔を赤くしながら「どうもないよ!」と言った。意識しまくっているのがバレバレである。



「龍可ちゃんは、マリクさんなんだっけ?」
「え…」

ジュースを飲んでいた龍可がストローから口を離して顔を上げる。明日香の言葉を理解したのか、いきなり自分に話題が降りかかったからか、顔を赤く染めて口を噤んだ。

「かーわいー!」
「マリクくんね、優しいもんね」
「うう…」

下を向いて黙ってしまう龍可に、アキはそっと手を頭に乗せる。

「年の差を気にしているの?」
「…うん」
「いいじゃない!年の差なんて社会人になったらそんなに気にしないんだし」
「杏子ちゃん、私たちまだ学生」
「でも龍可ちゃんはマリクさんのこと、真剣にすきなんだものね」

静香が優しく聞くと、龍可も小さくコクリと頷いた。

「なら大丈夫」
「すきって気持ちが確かなら、自信を持っていいのよ」

静香と明日香の言葉に、龍可は表情を明るくして、はい!と笑う。少女らしい無邪気で無垢な笑顔に、かわいいなあ、とこちらも笑顔になった。


「ねえ、祐菜のことを好きな人はいるけど、祐菜は好きな人いないの?」
「いない」
「嘘言わないでください」
「嘘じゃないよ、アキちゃんまで」
「好意を受けててそのまま放置じゃ、あっちがかわいそうよね」
「杏子ちゃんまで何を言う!」
「ふふふ」




そんなこんなで、今日も楽しい女子会です。

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女子会たのしい。
初出:12.12.05.
加筆修正:13.01.03.