Love call me.


15



撮影から帰ってきてから、なんだか日和さんが甘い。甘いっていうか、めちゃくちゃ手つきが柔らかいというか、なんか優しくなっている気がする。どうしてそんなことに?疑問を浮かべながらくっついてくる日和さんの相手をしていたのだが、なんだかんだ流れで二人供ベッドに倒れていつも通りの展開になりつつある。いつも通りになりたくないのに。
キスをしながら身体を触られる。優しく慰めるような手つきにちょっと戸惑った。いつもより少し多い気がするキス。強引さがなくて、ゆっくりじっくり焦らされる感じがしている。あ、焦らされるのはいつもされているかもしれないけど…でも中身が違う、ような。あとは目だ。楽しそうに意地悪をする目ではなく、とろんと潤みを帯びた瞳が揺れて熱い視線が私を射抜く。

「っ…ぁ」

普段とは少し違った色気に当てられた。うっっわ…どうしよう。全身熱を持っていくのが嫌でもわかってしまった。こういう反応をすると不敵な笑みを浮かべて楽しそうにするかと思いきや、じっと私を見たあとに慈愛深い女神のような微笑みを向けられた。予想外のことに驚きを隠せない。何か変なもの食べました?なんて聞けるはずもなく、そのまま頭を撫でられて唇を奪われる。舌が口内で遊び、全体を舐めあげるかのようにして動く。熱くて、柔らかくて、喉の奥から声が自然と出てしまう。ちゃんと鼻で息をして苦しくないようにして、日和さんに言われていることをやって。いつものような激しさはないので私も落ち着いてキスに応えた。途中、ちゅっと舌先を吸われると背中がゾクゾクと痺れてしまう。合わせて喘ぎ声が漏れ出てしまうものだから余計に恥ずかしい。

「…ふふ、かわい」

いつもの色っぽい声がまた違う感じの色っぽさを含んでるんですけど。私にしか聞こえない声量で、すぐそこにある距離で、熱い息さえ彼の色を増す要素になる。
日和さん、よく私にかわいいっていうけど盲目的なものではないかな。こんなイイ顔の男にかわいいと言われて嬉しくないわけではないけれど、疑い拭えないのは事実だ。言葉通りそのまま素直に受けとることができない。彼の言葉を鵜呑みにしてはいないが、しかし嬉しいものは嬉しいし、同時に恥ずかしさを覚える。もういい、そういうの言わなくていいからと顔を背ければ、彼の方に向いた耳に唇が寄せられる。ちゅ、と音をたてて吸われてしまい全身で感じてしまった。

「気持ちいい?」
「っ……」
「寝ててもしっかり耳で感じてたよ」

昨日のことを言われていると数秒遅れて気が付いた。多分彼は、私よりも私の気持ちいいところを知っている。寝ていて意識のない私はいつもより素直に感じただろう。どこをどう触られてどう反応したのか、私自身に記憶はないけれど。

「舌だして」
「…んっ」

絡む舌。吸われて、唇を食まれて、また舌が絡んで。日和さんの柔らかい唇が気持ちいい。本人にはぜっっったい言わない。言いたくない。意地を張っているのはわかっている。けれど口にしてしまったら手遅れで、自分が流されてしまっていることを認めることになる。少しでも抗いたい自分を必死に繋ぎ止めているのだ。
熱い息と舌を絡めながら日和さんは胸へと手を動かした。大きすぎず小さすぎない私の胸は日和さんの手に包まれて簡単に形を変える。キスの合間に服を脱がされ、下着からずれ出た胸の先に彼の細い指が触れた。先端は指先でぐりぐりと刺激をされる。かと思いきや、摘ままれ遊ばれ、様々に彼の指で弄くられる。喉の奥で声が出そうになるのを無理矢理留めながらキスをして。薄目を開けて彼を見ると、彼も私をぼんやりと見つめている。まさか視線が合うと思わなかったので、驚き固まってしまった。そんな私をみて彼は笑う。

「盗み見てるのバレちゃったね」

まさか今までのキスの間、こうして見られていたなんてこと………ありそう…。私は必死に応えていたから目を瞑っていたけれど、私の顔変じゃなかった?今まで何回したか分からないキス。その幾度みられていたんだろう。考えれば考えるほど恥ずかしすぎて塞ぎ込みたくなる。
一旦止められたキスに続けて、マイペースな日和さんは自分の思うように動いている。ダメージを受けている私のことは何のその、今度は胸に舌が這う。暖かい感触がくすぐったい。柔いところと先端を触れるか触れないかの絶妙な位置で滑られる。普段日に当たらない胸元の白さとは違い、日和さんの赤い舌が妙に艶かしくうつった。

「あっ…ひよりさ、んんっ」
「うん?」
「はあ、ん…やぁ、下、さわるの…」

胸を弄りながら日和さんの片手は下の方でもぞもぞと動く。下着越しに指をぐっと割れ目に押し付けられ、半強制的に開かれた足の間には日和さんの身体が入り込んでしまい、閉じきれない状態に。

「しっかり濡らさないと痛いでしょ」
「ひゃっ」
「そんなこといっても濡れてるんだけどね」

くちゅ、小さく耳に届いた音は私がしっかりと感じていることを物語っている。口にはしなくても身体は正直だ。彼は引き続き胸を舐めながら下着越しに突起へと愛撫をする。上も下も同時に刺激を与えられ、どうしようもなく気持ちよさが競り上がってきてしまった。彼の肩を掴んで離そうにも力が足りない。加えて、与えられる刺激で思うように力が入らない。びくともしないことに、与えられる刺激に少し怖くなってしまう。やだぁ…と力なく呟いた私に日和さんはついに顔をあげた。けれど何も言わず、涙目になった私に口付ける。ゆっくりと優しく、宥めるように。
唇を離した日和さんはちらりと視線を動かす。彼の視線を追っていけば私の下着を見ていたことを知る。気がつけば彼の長い指が下着を引っ掻け、出来た隙間から指をが滑り込むように侵入していた。直接的な刺激にビクリと大きく身体を揺らしてしまう。膨れた突起に指がかかった。先程の胸とは違い、背筋が痺れるような快感が私を襲う。そこを触られてしまうと簡単に気持ちよくなってしまうのに…彼はそれが分かっていてこそ触っているのだろうけれど。
ぐちゅりと先程よりも大きく聞こえる音。突起への刺激から、膣内に指が入り、更に音を大きくする。このあとのことを考えながら少しずつ指の数が増えたのに気が付いた。指が出し入れされて、やらしい音が響いている。漏れでそうな声を押し止めようと口に手を当てるけど最早それも意味はない。自分の意思では止められないくらいの快感が口許を緩ませて喘いでしまっていた。片手で中を弄くられ、もう片手はすぐ上の突起への愛撫。中と外、同時に触られることでどうなってしまうのか…彼も私も、考えていることは同じはず。ぐっと身体に力をいれるのと同じくして、上下の時とは比べられないくらい強い快感が私を襲った。


「あ、やだ、やっ…!あ、ああっ」
「いっぱい気持ちよくなってね」
「いっちゃう、ぁ、あ…イっちゃ…ぅあ、や、ああッ」

恐らく時間にして一分もかからなかっただろう。中からイイところに当たる指と、外を押し潰されて簡単に果ててしまった。中にいた彼の指を締め付け、数回身体を震わせたあとは脱力感が全身を襲う。そのまま力が抜けてベッドにへたりこむだけ。速い息で呼吸を整えて、まだ痺れるように残る快感に下半身が犯されている感覚。今まで確かに気持ちよくしてもらっていたが、まさかこんなにもゆったりとした経緯でイくことになろうとは。
荒い息の私を見下ろしながら彼は嬉しそうに笑う。ぬぽりと私のなかから出ていった彼の指。濡れているのは私の膣液のせいだ。彼はそれを戸惑うことなく舐める。…それ、私に見えないところでやってほしかったな。なんて、ちらりと見えた赤い舌にゾクゾクしたことに気付かぬ振りをして。

2020.03.07.
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