あんさんぶるスターズ | ナノ

園の果実は赤く実るか



橙に染まる教室。宵闇が迫る手前。学舎とはかけ離れた空間が2-Bの室内を染めている。

「んっ…」

つい数時間前にはここに授業を受けるクラスメートがいて、教師もいて、自分も目の前の恋人もいた。今は真逆で、しんと静まり返った教室。二人きりの逢瀬。いつ誰が通ってもおかしくない状況で、共に熱を抑えきれずにいる。

「弓弦くん、こんなとこにいて大丈夫なの」
「心配してくださりありがとうございます。ですが問題ありません」

ちゅ、ちゅ、と唇に、顔に、首筋に口づけていく弓弦くん。キスマークなんてものは残さないが、もう全身隈無く、というくらいキスをする。舐める。触る。


「坊ちゃまは練習に励んでおります」

心配しなくとも。耳元で囁かれた声は随分と低く、脳髄を震えさせる。ゾクゾクと反応させ、そうして疼くのは下腹部。
そのまま耳を食まれ、熱い息がかかれば簡単に腰砕けになってしまうのは恒例だ。弓弦くんに寄りかかるようにすればさらに密着し、自分で立ち続けることが難しくなったわたしの腰をあまやかに撫で上げていく。刺激された下腹部が弓弦くんの撫でる手に反応する。ああ、もういやだ。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない…」

あなたがわたしに触れるせいで、こんなにも乱されるのに。
仕返しと言わんばかりに、弓弦くんの口に噛みついた。なんて傷を残すことはできないから、ぱくりとそのお上品な口を食んで舐めてキスをする。隙をついたのもあって、薄く開いた弓弦くんの口を割き、舌を突っ込んでしまえば応えるようにわたしの舌が絡めとられる。ぴちゃじゅると小さな水音が二人の耳に届く。
立てなくなった私は後ろにあった机に座らせられ、弓弦くんはわたしの足の間に身体を滑り込ませた。逃げ場なんて無いし、逃げることもしない。

「どこが大丈夫じゃないんです?」
「ん、全部」
「全部ですか」
「うん」

弓弦くんが触れるところ全部。ぜんぶ、わたしの身体を熱くさせる要因になる。手でも口でも足でも、わたしに触れる場所全部があつく熱をもって応えてしまう。

彼は問題ない、と言ったが、実際はそんなに時間をかけていられない。家でゆっくりと解されるなんていうのは夢だ。少しできた時間が二人の時間。生徒会の手伝いも、ユニットのレッスンも、執事としてだって時間を使っている弓弦くんに、わたしと二人の時間を大幅にとることなんてできる筈がない。だからこうした隙間の時間に思いきり濃く過ごす。
服の上から身体を撫でられ、口づけされながらそれは服のなかに入ってくる。素肌を撫でられ更に感度を増していく。小さな喘ぎは唇で消され、代わりに唾液が混じりあう音をたてる。そうして下着をはずされ、前を開かれ、適度に胸を弄ったら早急に足へ。
既に冒頭から感じていたのでしっかりと濡れている。下着越しでもわかるので、脚から下着へ触れた弓弦くんは「さすがですね」と言いながら中心へと触れてくる。こうした身体にしたのは弓弦くんでしょ?

「ひゃ、あ、っんん、」

ちょっと意地悪に、わざと聞こえるように音を出してくる。ぐちゅぐちゅ。下着の中へと侵入する指はしっかりと濡れそぼった膣口にあたっていて。
膣口を撫でるようにして音を聞かせる。そうして濡れた指を、上の秘豆にすり付けるようにして刺激した。大きく身体を揺らして反応をしたわたしに弓弦くんは静かに笑う。ぐりぐりと強く押して、撫でるみたいに弱くして、強弱で工夫しながら感じさせていく。

「好きですもんね、ここ」
「っあ、ぅん 好き…!」

ゾクゾクと全身が甘く痺れていく。彼の指が濡れて、わたしを刺激して、絶頂へ向かうのが気持ちいい。ぼうっとしたまま彼の腕をつかんで、ひぃひぃと喘ぐ。
やだな、もうイっちゃいそう。そんなことを思いながら弓弦くんのくれる刺激に夢中になっていれば、そっと指が離れていく。えっ イきそうだったのに、止めちゃうの。

「いれますよ」

股の間でズボンを寛げる彼。十分に勃起した陰茎が目にはいる。コラ、と見たことを咎められるが、別にはじめてじゃないし。触ったことも舐めたことだってあるのに、彼はあまり見させてくれない。

「貴女、変な拍子に思い出して、勝手に一人で恥ずかしがるでしょう。だから記憶に残らないようにしてるんです」
「えっ そうだったの」
「恥じらう顔を見せたくないので」
「なにそ、れッ、ああっ」

いきなり侵入してきたことにぐっと身体に力が入る。それは勿論、膣のほうも同じようで、キツいのか弓弦くんは眉間にシワを寄せて唸った。

「急にいれるの、やめて」
「おや…いい、ッでしょう」
「キツいんじゃん…」
「っは、そうですね…でもすぐ柔くなります」

ゆっくりと腰を動かす。それにあわせて揺さぶられるようにして突かれていく。出し入れされるのが気持ちよくって、挿入された直後の緊張も解れていた。動かしやすくなったのか弓弦くんの腰の動きも少し大きくなる。
ふと視線があった。腰を動かしながら、自然と近づけて合わさる唇。互いに舌を出して、吸って、食われて。弓弦くんの首に腕を回してしがみつく。唇を離したあとも、ぐっと力を込めて彼の肩に顔を埋めた。

「は、あっ ん、んんっ ね、ゆづ、くん」
「…っはい? 何ですか」
「ちょっとお尻、いたいかも」

たぶん今わたしの全体重がかかっているだろうお尻。別に今の体勢でもいいんだけど、揺さぶられていると何となく痛みを感じてしまった。
もともと腰をやられたから机に座らせてくれていただけだし、もうここまで来たら床で寝転んだ方がいいのではないか。

「床は身体を痛めるでしょう」
「ええ…いいよ、平気」
「ダメです。降りて後ろを向いてください」

してくれ、といいつつ、さっさとわたしを机から降ろし、くるりと身体を方向転換させる。上半身が前へと押されお尻をつき出す形となる。いや、後ろ向けといわれたところで察したけれど。
後ろに弓弦くんがいるのがわかる。そして後ろから再び挿入を試みていることも。ぐちゅりと陰茎が膣口に触れ、今度はゆっくりと身体の中へと侵入してきた。


「ん、あ…」
「さっきより、はっ 柔いですね」
「あっ ん、はぁ、」
「でもいい締め付けです」

急かして挿入されたさっきより、今の方がゆっくりと胎内に侵入されて敏感に感じ取ってしまう。腰を掴まれて、腰を押し付けられる。ぐ、とおさまるところまでおさまったところで、弓弦くんが大きく息を吐いた。
身体を倒してわたしの背中に、弓弦くんの胸が密着する。前に身体を倒していたわたしに覆い被さって、そのまま首筋に口を寄せ、触れるか触れないかの距離で撫であげていく。

「すぐに動いていいですか」
「…いいよ」

我慢していたんだろうな。わたしの許可が降りればちょっと乱暴に動き出した。腰は掴まなくてもわたしはこの体勢から逃げられない。彼が覆い被さっていれば尚更。
彼はわたしを支配するようにして腕を下ろしていた。熱い息がすぐそこで、荒く唸っている。耳へ届く度に下腹部が反応して濡れてしまう。


「は、っはあ、ん、」
「ああ、そこっんぅ、んんんっ」
「気持ちいい、で、しょうっ」

私の身体を覆うように左右に降ろされていた腕が、そっと露になったままの胸へと触れた。そのまま柔く揉まれ固くなった乳首を弄る。
胸までさわられて、後ろから突かれて、熱い息が肌を撫でて。色んなところで弓弦くんを感じてしまっていることを自覚すれば、ぐわあっと快感が押し寄せてくる。

「あ、んっああ、っあ!ああぁ…っ」
「っく、」

急速に訪れた快感はそのまま全身を震えさせ、絶頂へと導いた。先程イけなかった分疲労が増して襲ってくる。

「はあ、はあ、は、あ……きもちい…」
「可愛らしいですね…双葉」

ここで名前を呼ぶのは卑怯だ。そうして息も絶え絶えの私の耳に優しく語りかけ、ちゅ、と耳にキスをする。
弓弦くんは一緒にイかなかったらしい。まだ硬いままの陰茎が挿入されているのに気が付く。イったばかりなので少々敏感に感じてしまうのだが、仕方がないだろう。


「もう少し、付き合ってください」

覆い被さったまま腰を揺らし始める弓弦くん。少しずつ動きが激しくなって、動きにくくなったのか上半身を持ち上げた。そうして夢中で腰を振り、逃げないようにか無意識か、私の腰を強く掴む。あ、もしかしたらコレ軽く痕が残るかもしれないな、なんて揺さぶられながらぼうっと考える。
ぐちゅぐちゅと音を奏でながら、溢れ出た膣液が太ももをツツーと辿る。ああ、汚したくなかったのに。

「っ双葉、は、あ…双葉さん、」
「ん、なに、ゆづるくんっ」
「はは、いえ、…ああ、かわいらしいな、と…っ思いまして」
「本当、?かわいいって、思ってくれるッ?」
「もちろん…っあぁ…」

すごく、色っぽい声。普段よりちょっと低く、掠れたみたいな声で喋る彼はこんなときしか見ることができない。ご主人である桃李くんは見たことあるのかな、私だけ、だったらいいな。
段々と息遣いも荒くなっていって、腰も重く打ち付けられる。多分絶頂に近いのだと思う。

「あ、んん、っゆ、ゆづるく、ンッ!あ、あっ」
「イきそうですかっ?いいですよ、また、イっても」
「いっちゃ、う、…っあ、きもちい…!」

再び訪れる絶頂。気持ちよくて、情けない声をあげながら中におさまっている弓弦くんを締め上げた。その締め上げのお陰か、弓弦くんも声は出さなかったけど唸りながらゆるゆると腰を動かす。

「っ、は、ァ……、は」


二度目の絶頂にわたしは体力がなくなっている。弓弦くんはきっとまだ大丈夫。むしろ性欲が解消されて、この後にレッスンだって清々しい顔で出来るだろう。
ぐちゅ、と音を立てながら、胎内から弓弦くんが出ていく。身体の力が抜け、ほっと一息吐くと瞼が重く降りてきた。少しだけ、ちょっとだけ、意識手放してもいいかなぁ。


「貴女は明日、この教室へ入って……何を、思い出すのでしょうね…」


彼が妖しく呟いたことなんて、意識を手放したわたしは知らないまま。

2019.12.29.
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