あんさんぶるスターズ | ナノ

連鎖する

※結婚してるとかしてないとかはご想像にお任せします色々目をお瞑りください。



ひとりベッドのなか、乱した服をそのままに。携帯のなかで繰り広げられる動画の男女の行為をみつめて、思うがままに指と手を動かす。
同居人である燐音は本日、遅くまでの仕事があるのだと言っていた。だからひとり寂しくベッドに入り込んだものの、寂しく思うあまり性欲へと塗り替えられてしまったらしい。
自身の身体を触り、感じさせ、熱をあげるようにして快感を求める。どうしようもない欲を、静かにひとり処理をして。

「はあ、…っん、……ぁ」

濡れた指をティッシュで拭き、ゴミ箱へ落とす。一瞬だけ満たされた感覚になり、今はもう虚しさが押し寄せている。しなければよかった訳ではない。けれどひとりで至る絶頂は、どうしても。
イヤホンを耳からはずし、動画サイトを閉じて画面を落とす。目を瞑って、いわゆる賢者タイムを迎えていると徐々にひとりで高めた熱が冷めていく。
乱した服を整えようと、下着に手をかけようとしたところで…

「双葉ちゃんはそういうのが好きなんだなァ?」

耳元で突如聞こえた他人の声に思わず飛び上がる。背後を振り向けば、仕事帰りであろう燐音がしゃがみこんでいた。

「寝てんだろうなァ、と思ったから音立てずにいたんだけどよォ…まさかひとりでエッチなことしてるとは思わなかったぜ」

思わぬ登場で言葉がでない双葉は、暗闇で燐音を凝視したまま動けない。
だって帰りは遅くなるって言っていたのに。まだ時間は21時過ぎだ。だからこんなことになるなんて、全くもって思わなかった。

「で?双葉ちゃんはそういうシチュエーションが好きなの?」
「な…ん、」
「えー?ちゃんとお返事くれないと、燐音くん寂しいぜ?」

動揺のあまりうまく言葉が紡げない。そうだと燐音は分かっていながら、構わずに双葉に近づく。
ベッドのうえであることを意識させるかのようにスプリングが軋み、双葉は簡単に燐音の侵入を許してしまった。

「なァ、あの動画の何に興奮した?シチュエーションか?それとも企画モノが好きなの?」
「や、」
「素股、騎乗位、ローション、生挿入…いろんな要素があったよなァ」

まさか動画の中身まで知っている?そんなはずはない。でも万が一そうならば、燐音に痴態をみられていたということになる。
更なる動揺の種に双葉はなにを言ったらいいのかわからなかった。

「何が好きなのか、燐音くんに教えてくれよ」

色気のある、低い男の声が双葉の耳元でささやかれる。ぐわ、っと昂りが全身を覆い、爪先から脳天まで甘い痺れが流れるよう。
そんな双葉に燐音はおとなしく待つ訳はなく。がぶり、中途半端にはみ出していた双葉の胸に食いついた。といっても噛まれたわけではなく、吸われ舐められているのだが。

「んっ 燐音さん、や…っ」
「いやなわけあるかよ、ひとりで楽しんでてさァ」
「ごめ、っごめんなさい…!」
「謝ってほしいわけでもねェの…なあ、いったい何にそんなに興奮したんだよ」

やわりと揉みながら、乳首が指先で遊んでいる。大きな手で、長い指で、双葉の熱を再び上昇させるだけ。
今の場合、燐音はちゃんと答えないと終わらせるつもりはないのだと、双葉は諦めを覚えた。
動画をみられていたのか、痴態もみられていたのか、それはわからない。燐音がいわない限り、気付いていなかった双葉に真実はわからないまま。

「…非日常的なものだから、」
「ん?」
「だ、だから、普通じゃあり得なさそうなことだから、その……っひゃん!」
「…ふぅん」

非日常、ね、と呟く燐音の声は小さい。双葉の耳には何か喋っていることがようやく分かる程度。
なに、と聞く間も与えず、燐音は双葉の大腿に手を這わせ、先ほど双葉が一人で感じていた場所へと指を動かした。幾分も経っていないからか、よほど一人で感じすぎていたのか。双葉の恥部はため息がでるほどに濡れている。

「ホントは丁寧に感じさせてェんだけど、生憎、双葉ちゃんは準備万端な身体してんだよな」
「あっ、触っちゃやだ、まっ、ァ、」
「こんなにぐちゅぐちゅにさせてんの、燐音くん妬いちゃう〜」

なんていいながら、双葉を見る燐音の視線は鋭い。
ひとりでこんなに気持ちよくなって、まァなんてこと。
言葉と視線がちぐはぐな燐音。濡れた恥部を長い指で弄ばれ始めた双葉は、そんな燐音に気付かない。


「もういれていい?」
「え、うそ」

双葉が視線を下に落とすと、既に燐音の興奮は押し付けられていて、侵入する手前だった。先走りで濡れた先っぽが、双葉の膣液と交じり合う。燐音が割れ目をなぞるように腰を動かせば、ぐちゅりとした水音が耳に届いた。
そのまま流れるようにして双葉のなかにはいっていく。決して小さいわけではなく、むしろ立派な方の筈なのに、双葉の膣内にすんなりと入っていくのは二人の行為の経験数を物語っているようで。

「はいっ…ちゃっ、た…ぁ」
「っ…は、中まで熱ィな」

ゴムのしていない粘膜接触は互いの熱を敏感に感じる。双葉がひとりで昂らせた身体は燐音の思うよりも熱く、その熱で更に燐音の興奮を仰いだ。

「ァ、あ、んっ…あっ」
「そんなに好みの動画だったのかよ…マジで妬いちゃうんだけど」

乱暴じゃないのに、一回の腰の動きが重たい。前戯はほぼないに等しいはずなのに、出し入れするたび、逃がさんといわんばかりの締めつけが水音と共に燐音を狂わせる。
今日は双葉のひとりあそびによって、自分の思わぬところで発生した熱があるという現実が、嬉しいようで憎らしい。普段なら自分が主導権を握っているのに。いや、今だって主導権は燐音だ。それでもなお認めきれないのはどうしてか。

「もぉ、熱いのひいてたのに…っ、燐音さんが、!…っさわる、からぁ!」

ひとりあそびの熱が引き、燐音がいることに背筋が凍り、再び熱に犯される。温度差で風邪を引きそうになりながら、双葉は懸命に今の熱は自分のせいではないことを主張する。
まあ、それも逆効果なのだが。

「っあー…やべ、」
「んぅ…?」
「かわい……」

向かい合って挿入していた体勢から、逃げられないように腰を浮かされ打ちつけられる。重力に従って燐音の与える刺激はより一層つよくなる。
逃げられない迫られ方に、息が止まりそう。見せつけられるように出し入れされる行為は、自分がもう燐音のものだといわれているようで。手遅れだというほどに燐音がすきだと、身体が応えてしまう。

「あ、やッ!もう無理ぃ…っひ、ああっ イっちゃう…!」
「イっちまえよ、さっきみたいに可愛く頼むぜ?」
「ひゃあ、アッ、ん、っあ、あぁ、ッイ…、ン…!」
「いくぞ、ほらッ俺も、んっ…!!」

なかを締め付ける自分の下腹部で、びゅる、と精が放たれたことは嫌でも分かる。燐音のくぐもった声が止み、犯す圧迫感から開放されれば少しの時差の末、どろりと熱が溢れだした。
息を整えている双葉をよそに、燐音は背徳的ともいえる彼女の姿を目にして昂りが抑えられない。初めてではないはずなのに、それでもこの熱がおさまらないのは、きっと。


「ほら、まだおわんねェぞ」
「ぅわ!?」

双葉は腕を引かれ自然と身体が起こされる。されるがままに持ち上げられ、着地した先は燐音の昂りの上。再び粘膜が触れ合い、腰に回った腕から逃げられない。
そのまま持ち上げるように挿入され、戻らない体力を恨みながら高い声をあげた。

「ああっ」
「さっき見てたのもこんな感じだったよな?」
「や、ちが、こんなっ、ぁ、ンンッ!こんな強くな、いッ」
「強いの、好きなくせ、にッ!」

体力が取り戻せないままの双葉は、あまりの限界さに燐音にもたれ掛かるようにしてしがみつく。
寄りかかる双葉の頭を撫でたあと、燐音が身体を横たえる。自然と双葉も身体を倒し、完全に燐音に乗っかった体勢へと変化する。それが引き金になったかのように、燐音は下から腰を突き上げた。

「は、あ、ッはは、締めつけてんな…イきそ?」
「うん、いく、も…ん、はァ…っ」

律動も、体勢も、されるがまま。あまりの強い律動に力ない双葉の身体が飛んでいってしまいそうになり、燐音は思わずぎゅう、と身体を抱き締める。
密着した身体は、つまり双葉の奥深くへと挿入されることになることを、燐音は計算していただろうか。

「あ、あっ、ん、奥ッいく、の…イっちゃう…っ!」
「……っ、あァ、」

双葉の熱い息が燐音の肌を撫で上げる。
ぶるり、身体を震わせて達すると、遅れて燐音も再び双葉のなかに吐精した。腰をうちつけながら、離れないようにと締め付ける中に刺激されて。
早かった二回目の絶頂に二人、息を切らせて熱い肌をあわせる。汗ばんだ皮膚はぺたりと張り付いていて離さない。

「ん…」

とろんと蕩けた瞳の双葉に唇を差し出し、柔く合わせる。食んだ唇に、薄く開いた先の舌を絡めて、吐息を飲み込むように。
結局燐音は双葉の痴態をみていたのか、動画をなぜ知っていたのか。問いかける気力を削がれるようにして唇が奪われ続ける。嬉しそうにしている表情をみてしまえば、もう何かどうでもよい気がしてきた。

「…も……むり…」

自分の中の寂しさは満たされて、恐らく熱に当てられた燐音も落ち着いたのだろう。
このまま今日はこの腕に抱かれながら、寂しさではなく微熱を感じて眠ればいい。恥ずかしさもなにもかも、どうでもよくなってしまうほど満たされてしまったから。

2021.07.14.
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