あんさんぶるスターズ | ナノ

かに甘い蜜の底

輪廻の煌めきはつかめないのつづき
※小スカ、潮吹き表現あり



ぶわりと溢れ出る汗が気持ち悪い。肌を撫でて滴るものを拭うことも出来ず、双葉は懸命に呼吸をしていた。先ほどまで燐音の好きなように弄ばれていた身体は上手く力が入らない。快楽の余韻が響いており腰を動かすだけで思い出してしまう。外に出された精液は双葉の腹部にかけられた。多少乱暴にティッシュで拭いとられたのだが、全てがとりきれておらず自分のお腹へと手を伸ばした双葉の指にべたりとついた。
何処かにいっていた燐音が姿を現す。下着もつけず全裸で動いているものだから、その姿をみた双葉は即座に視線をそらせた。

「双葉おね〜さん、立てるか」
「…………」
「立てねェなら勝手にするぜ」
「っひえ!?ちょ…!」

抱き抱えられて連れてこられたのは浴室。独り暮らし用なのか狭いのだが、そこに二人で入ればそこそこ密着しなくてはならない。床に下ろされるとお尻がひんやりとして吃驚する。と同時にシャワーで湯をかけられて変な声を出してしまった。

「ぎゃん!な、っ」
「べたべたで気持ち悪ィだろうが、洗っちまうぞ」

ざああ、と身体にシャワーをかけられる。幸い頭からびっちょりとかけられていないのが救いだ。汗と精液と、膣液でべたべたの身体。主に下半身をどうにかしたい。お湯で流されるだけでも大分気持ちよさが違う。
隣で燐音も湯を浴び、やがて止められる。終わりだろうと起き上がろうとする双葉の身体に燐音の大きな手が這った。ぬるり、触れる手は滑らかに動く。いつの間にか泡立てたのか、ボディソープで丁寧に洗い始める燐音。突拍子もない行動に驚いているとふいに胸をさわられた。格段いやらしい手つきではないのだが、何より胸をさわられること自体が先ほどの行為を思い出してしまってならない。そのままやわりと先端に触れられ、大きく身体が揺れてしまった。

「や、ぁ…っだめ、触んないで…んんっ」
「ンだよ、色っぽい声だすんじゃねーって」
「アッ…ぁ、ほん、と…だめ……っひ、あぅぅ」
「…あれあれェ?もしかしてマジで感じてる?」

わざと、だ。初めは何もないかのように触れていたのに、今ではその手つきはいやらしいものへと変化している。硬く尖った胸の先を摘まむようにして弄べば、双葉は可愛らしい声を簡単にあげた。
脱力した身体に力をいれるのは容易ではない。双葉がへたりこんだことをいいことに、燐音は好きに手を動かす。脇腹を、臍を、腿を触れる指先はやがて恥部へと滑り込む。ぬるつくそれは燐音の手につくボディソープとは別のもの。先ほども散々よがらせた効果が再び発揮している。確実に感じている双葉の身体に、燐音の口角は自然と上がった。喉の奥から笑いが込み上げてくる。堪らない、と。

「いいねェ、そのつもりなら俺っちも乗ってやる」

ボディソープの付着した指がそのまま双葉の膣内へと侵入する。それはもう簡単に、先ほどまで解されていたそこはあっけなく燐音の指を迎え入れる。確信した燐音はすぐに指を退けた。
双葉を後ろから抱え込むようにして座り込む。狭い浴室内で二人分の場所を確保するのは難しい。自分の膝の上に双葉を持ち上げながら、既にそそり勃った自身を呑み込ませていく。

「あああっ や、っん!」
「きゃはは!双葉おね〜さん、すっげェな…二回目なのにすんなり入っちまった」
「言わないで…!」
「暴れない方がいいぜ、滑って変なとこ打っても知らねェぞ?」

不安定な体勢で挿入されており、尚且つボディソープという大変滑りやすい液体が身体に付いている状態を思い出した。狭い浴室のなかで暴れれば体勢を崩してしまい、何処かにぶつかって怪我をしてしまうかもしれない。それは双葉自身だけではなく、密着している燐音に対しても同じことが言える。
双葉だけならまだしも、燐音はアイドルだ。身体や顔に痣を作ったり怪我をするなんてことはあってはならない。ましてやプライベートのなかでなど。加えてプロデューサーがいる状況での怪我は絶対にさせられなかった。例え燐音が素行の悪いアイドルだとしても、アイドルである限りプロデューサーとして怪我をさせることはできない。双葉のプロデューサー矜持がここで自身の行動を縛り付けてしまった。

「ん、あ!うご、動かないで…っ」
「暴れなきゃ、ちゃんと支えてやるから」
「ひっあぅ…あ、ああっ」

背後にいる燐音に身体を全面的に預ける。いや、預けさせられている。膝を曲げて抱え込まれた体勢で、双葉は燐音に身体を預ける以外の体勢を思い付かなかった。だからこそ余計に自身の体重がかかり、奥深くまで挿入されてしまう。何をするにしろ、今の双葉には逃げ場がない。

「あぁ、や…やぁ、こんな、ッん、」
「やだの割には締め付けきもちーんだけど」

燐音は後ろから双葉の肩へ顔を乗せる。ちょうど喋ると双葉の耳に息がかかるため、ちょっとした悪戯心が刺激される。ふっと可愛らしく赤く染まった耳に息を吹き掛ければ面白いほど中が締まった。
息をかけ、舌を這わせ、下から抽挿する。腕のなかの双葉が可愛らしく反応をするお陰で燐音の興奮は止まらない。
濡れた肌が吸い付くのを無理矢理にも離し、すぐに密着させてはまた離す。水気を帯びているからか、浴室という音が反響する場だからか、ぱちゅぱちゅと肌がぶつかり合う音がやけに耳に届いた。そんなに激しく打ち付けているつもりはないのに、肌を打ち合う音がこれほど耳に付くだけで興奮の度合いが変わるのか。聞きたくない音を耳にいれ、耐える双葉は少しずつ自分の身体がくすぶっていることの自覚をする。くすぶっているというか、違和感というか、ぞわぞわと…言い知れぬ恐怖が下腹部を支配していた。

「なに、ヤ…っへんなの、ぁ、やだ、」
「変?」
「〜っ トイレ、行かせて…っん、ん!」

言いたくない、けど言わないと放してももらえない。双葉が羞恥を隠しながら口にした「トイレ」という単語に、燐音はぞくぞくと快感を昂らせながら腰を動かし続ける。

「ひ、やだ、あああっ あ、ッ、…ぅう、はあ…ァ、」

プシャ、と音を立てながら温かいものが恥部から流れる。燐音が腰を動かすとそれに反応するようにまたプシ、プシュと溢れさせた。水に濡れた肌に暖かいものが流れ滴る。ぼんやりと、同時に軽く絶頂を迎えた双葉は切れる息を懸命に整えようとしながら燐音の腕に手を這わせる。

「潮吹いちまったなァ、そんなに気持ちよかったか?燐音くんは」

ああ、これが、潮吹き…?
うまく回らない頭で捉えた燐音の言葉を、時間をかけて噛み砕く。襲ってくる感覚に追い付かない思考で、漏らしてしまったわけではないことに安堵する。が、そんな悠長なことをさせてくれる筈もない。
後ろの燐音はイったばかりの双葉が抵抗しないのをいいことに、自身の膝から下ろす。しかしそれも自立することの出来ない双葉の腰を支えて膝立ちにさせる。程よく目の前にある浴槽のふちへと体重をかけさせて再び双葉の中へと侵入した。
ぐちゅり、先程よりも柔く熱い侵入先に、双葉には気付かれない小さな声で喘ぐ。燐音は支配欲が迫り上がるのを必死に抑えながらも、目の前で自分の与える快楽に身を震わせる双葉に堪らなく興奮した。抑えている筈の支配欲が滲み出てしまう。打ちつける腰の重さへと断片的に当てながら、膨れ上がる欲を抑えきれない。

「ああ…あ、っうぅ、」
「は、っ」

先程とは違う角度でいいところがあたる。ベッドの上でした時のような、揺さぶられる振動と突き刺さる衝撃が下腹部から腰、頭を通じて快感に変わっていく。
前屈みになった双葉に覆い被さるように身体を密着させた燐音。身体の線をなぞるようにして指を這わせ、律動で揺れる胸に到達する。挿入前に弄った時と同じく硬く主張した先端で指が器用に捕らえる。
耐えるようにして浴槽のふちにしがみつく双葉に覚えるのは“もっと”という感情。まだ足りない。もっと気持ちよくなれる筈だ。根拠のない自信と期待が入り交じった燐音に、双葉の喘ぎが心地よく響く。

「やだやだやだ…!やめて、もうやだぁ…ひっ さっきと違うの、っああ、は、あぅう」
「いいって、もうなんでも出しちまえよっ!」

先程のように潮を吹いても構わない。浴室であるから綺麗に流せる。気持ちよさに嘔吐をしても、血反吐を吐いても、今でなら何でも興奮に塗り替えられそうだ。
己の欲を満たしたくて堪らない燐音は双葉の「嫌だ」という言葉に耳を貸すことはない。そんなことをいって、さっきも気持ちよかったくせに。頭のどこかでそんなことを思いながら、支配下で乱れる年下の女を容赦なく揺さぶった。

段々と大きく制御が効かなくなる喘ぎ声に期待をかける。やがて双葉の下半身はがくがくと震え、いやだという言葉と共に嗚咽が混じる。喘ぐというより、力なく絶望の色をのせた声に燐音が下を覗くと、先程とは違う液体が双葉の股から流れ出ていた。
しょろしょろ…弱い勢いのまま薄く黄色がかった液体が浴室のタイルを流れていく。そこで燐音は潮ではなく排尿をしたことに気がついた。自分の下で身体を震わせ、本当ならば誰にもみられない個室という空間でするものを目の前で見せつけられている。あのプロデューサーの一人が、自分の腕のなかで、今まさに。

「ヒュウ♪」

お堅いプロデューサーの劣等感をつついたら、こんな痴態を晒してくれるなんて。数刻前の燐音は思ってもみなかった。ただ自分のいいようにしてくれる存在を欲していただけだったが、思わぬ収穫にぞくぞくと全身で昂っていく。
震える双葉の腰を掴み、これからがまた楽しいところだと揺さぶる。が、双葉は浴槽のふちにしがみついたまま首を横に降った。駄々をこねる子供のように力なくへたり込む双葉が、本格的な嗚咽をもらし始めているのに気が付いた。

「ぐす…っやだって、言ったぁ……言ったの、にぃ……っ」
「…………やっべ」

不味い事態になっていると、漸く自覚をした燐音。か弱く泣き震える少女を前にして先程までの昂りは何処かにいってしまった。いや、何処かに放り投げなくてはいけなかった。まずい。かける言葉も見つからず、震える背中がただただ燐音の肝を冷やしていた。






「はあ〜ただいまーっす。燐音くんのご飯まで作るのかあ…いいけど…」

バイト終わりに帰宅をした、この部屋の本来の主である椎名ニキ。帰った途端に部屋の明かりがついていることで、今日も燐音が部屋に上がっていることを察してしまう。
だが今日はひとつだけ違った。燐音の靴の隣に見慣れない女性もののパンプスが脱ぎ捨ててあったのだ。まさかと思いキッチンを抜け、部屋に入れば燐音が半裸で寛いでいる。加えて見覚えのない塊がベッドで丸まっているのに気が付いた。

「うわ!」
「お。ニキ早かったな」
「なに!何で燐音くん女!?連れ込んでるんすか!ここ僕ん家なんすけどお!」

布団からはみ出ている足と、ちらりとみえる腕で女性だと確信する。さすがに自宅をラブホ代わりにされるとは思っていなかったので純粋に驚いた。
驚いたのだが…どこか燐音のテンションが低い。いつもであればもっと絡んでくるのに、女の前だからか?というかその塊になってるの、本当に女だよな?何でさっきから喋らないのか、と様子を伺うと、啜り泣いている声が聞こえる。まさかと、泣かせたであろう張本人に振り返れば、燐音はそっと視線を反らせた。

「ちょっと燐音くん、事情聴取するっす」

兎に角、この部屋の持ち主である自分は事態を知る権利がある。そしてこの状態をどうにかするには自分が今動かなくてはならない、と察したニキはまず燐音へと問いかけた。面倒くさいことこの上ないのだが。何があったのかと、ナニしてたかなんて簡単に想像がつくがそういうことではない。女の子が泣いている理由を問うと、燐音が文句を垂れながら簡単に話し出す。

「は?お漏らしさせたら泣いちゃった?バカなんすか?」
「はぁ?バカじゃねーよ、加減間違ったんだよ」
「そんなこといって…最初は楽しかったのに泣いちゃったから怖じ気づいたんでしょ、まったく…」

聞く限りにバカらしかった。大体全面的に燐音のせいだと結論付けたニキは大きなため息をつく。
言い訳をすると、燐音は別に彼女を浴室に置いてきたわけではない。あのあとすぐに行為自体は終わりにしたし、泣いたままシャワーを当てて湯で色々なものを流し、タオルでしっかりと身体を拭いて下着を差し出すまではした。下着をはいてすぐに籠城するようにベッドで丸まってしまったので、仕方なく燐音一人で寛いでいたわけだ。
まあその言い訳すらもニキにはバカらしいものにしか聞こえない。そこまでするなら、最初から泣かせなきゃいいのにと世話のやける年上をみて再びため息をついた。
そんなこんなで燐音からの話だけではなく、当事者の彼女にも話を聞くべきだろう。どうしたら警戒なく姿を見せてくれるのか。とりあえず食事を作るところだし、ご飯で釣ってみようと燐音をそっちのけて声をかける。


「おねえさん、燐音くんがすんません。お詫びに僕の作る美味しいご飯でも食べないっすか?お腹減ってません?」

もそり、布団が動く。ニキの発した言葉の何に反応したのかはわからないが、彼は「もしかして簡単に話を聞けるのでは?」と油断をした。
丸まっていた布団が少しだけ浮き、中にいるであろう人の顔が証明に照らされる。はじめははっきりと分からなかったものの、照らされる顔に見覚えがあった。記憶を辿って答え合わせをすれば簡単に辿り着く。だって彼女は……

「ってウワ!プロデューサーさんじゃないっすか!」
「そ〜だけど」
「燐音くんマジでアホなんすか!?」


ニキくんびっくり
2020.05.29.
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