わけがわからない。一体なんだって言うんだ!
既に今日の授業は終わり部活動が始まりつつある放課後の時間、オレは真月零の姿で学校内を徘徊していた。普段なら(面倒ではあるが)九十九遊馬共と共に帰路についていたが、今日はどうにもそんな気分になれず一人で行動している。まあ、もっと言うとあいつらと同じ人間のフリするってだけでも嫌なわけだが、これも計画のためだからなァ。すれ違うクラスメイト共の言葉を真月零の笑顔で適当に交わしながら、ふと窓の外を見る。


「…あ?」


つい、真月零としてではなくベクターとしての言葉を吐いてしまった。真月零は汚い言葉遣いなど使わない。周りに視線をやると、幸いその言葉を拾った奴はいないらしく、どいつもこいつも平和ボケした面で談笑しながら通り過ぎていく。あァ、いや、そんなことはどうでもいいんだよ。オレの視線を戻し再度窓の外を、正しくはなまえと、凌牙を見る。…………、あーあ、なまえチャンはホントバカだよなァ。オレがあんなにお仕置きしてやったのに、まだ、凌牙に近づくのかお前は。…違うか、あいつは何が原因で犯されたのかなんてまるでわかってない、いやいや、それだけじゃなかった、あの行為が何を示すのかすら理解していなかった、本当にバカだ、………くそ。

なまえは人間に全く興味がないせいか人間の性知識を欠片も知らなかったな。食事と睡眠があれば生きていけるという、最低限のことだけを覚え、それ以外は無知。最初人間界にやってきたとき、服を邪魔だと言って突然脱ぎ始めるから慌てて止めたのはまだ新しい記憶だ。だからこそ、教えがいがあった。なまえがわけのわからないまま身体を蹂躙され快感を覚えていく様はそりゃあ気分が良かったぜ。あんな姿、オレ以外見たこともないだろう。優越感、そこにあるはずの感覚、なのに今オレを支配しているのは、ああ、もう、イライラする。これ以上、あの2人が肩を並べ合ってるところなんざ見たくなかったが、好奇心が打ち勝って、先程よりも重くなった足を進めた。


「ほお、なまえ、お前覚えがいいじゃねぇか」
「そうなのか?」
「ああ、そこらの奴よりデュエルの腕は立つし、教えがいがある」
「そう言ってもらえると助かるよ、凌牙」


近寄れば会話が、幽かだが聞こえてくる。……………くそ!なんだってんだ、なんだってんだよ!!なんで名前で呼びあってんだ、いつの間にそんな親しい間柄みたいになってんだよ、なんでオレじゃなく凌牙に相談してるんだオレでいいだろうが!敵にデッキの内容知られてどうすんだよ!お前は、オレのもので、なまえ。なんでこんなに苛ついてるんだオレは、あいつが凌牙に近づき、何れバリアンだと知れば奴も遊馬と共にボロボロにしてやれるのに、喜ばしいじゃねぇか、なのになんで。わけがわからねぇ、ふざけんなよ、なんでオレがあいつに振り回されなきゃなんねぇんだ。


「このカードで誘発して、ということか?」
「ああ、そうだ。そうすればこいつが特殊召喚しやすくなるし、上手くいけば…こっちもだ」
「なるほど…さすが凌牙だ。恩にきる」


何笑ってんだよ、そんな顔、オレといるときには絶対見せねぇじゃねぇか。そうじゃない、なまえ、わかってんのか凌牙は敵だぜ?敵にデッキ調整手伝ってもらうってどういうことだよ、後でドルべにでも言いつけてやろうか。お前ドルべの説教苦手だもんなァ?それが嫌なら早くオレのもとへ帰って、…………凌牙、気やすくなまえに触れてんじゃねぇよ、そいつはな、そいつは、そう、バリアンだ。お前の敵、遊馬の敵、オレの部下、オレのパートナー、オレの、オレの……?


「ありがとう凌牙、付き合ってくれて」
「かまわねぇよ、オレもお前とデュエルしてみたいしな」
「…いつか絶対その時がくるさ、近いうちに」
「?あ、ああ」


なに悲しそうな顔してんだよ、凌牙と戦うのがそんなに嫌かよ、なら望み通り戦わせてやろうか、それとも……………


ああ、ホント、面白くねぇ


0610
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ゆうちゃんから!
フリリクでいただきました。凌牙に嫉妬する真ベクちゃんかわいい!
※ゆうちゃんのサイトの「お前ホント可愛いよな」の続きです。是非あわせてお読みくださいっ
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