*現パロで夫婦(not固定夢主)



「ただいまー」
「おかえりなさい!」


鍵の開く音がし、扉が開けられる。スリッパの音を立てて玄関に向かえばそこにいるのは最愛の夫・ブルーノ。ぎゅ、と抱きついた後に鞄を受け取る。
靴を脱いで玄関に上がり、歩きだしたブルーノに続くように後を追う。

「ご飯作っちゃってもいい?それとも先にお風呂入っちゃう?」
「ご飯食べるよ。お風呂は後で」
「じゃあ作っちゃうね」


自室へとたどり着き、鞄を置いてキッチンへと向かう。仕上げだけ残った夕食に最後の手間をかけて完成させていく。その間にブルーノは私服へと着替え、リビングへ向かう。ここでキッチンのなまえを見るのが日課だ。
くるくると回りながら楽しそうに料理を作る。ああ、こんなに可愛い奥さんが目の前にいる、幸せだ。そんな満面の笑みを浮かべながら。

「ブルーノ、ごはんよそってくれない?」
「うん、わかった」

ソファに腰を落としていたブルーノは立ち上がり、キッチンで動き回るなまえの邪魔にならないように茶碗にごはんをよそる。そのままなまえの邪魔にならない範囲で手伝いをし、二人で席に着いた。


「「いただきます」」


手を合わせてお決まりの言葉。自然と重なった声にくすりと笑い、箸を持つ。できたての夕食を口に運んでいくブルーノ。
箸を持ったものの、なまえは一向に料理を口にしない。ブルーノが一口目を飲み込むのを待ち、なまえはじっとみつめている。

「うん、今日も美味しいよ」
「! よかった」


昔から料理がうまかったが、ブルーノの好みに合わせて最近料理の味を調整しているらしい。しかし好みとは違っても自分のために作ってくれる料理ならば嬉しいと感じるブルーノは「心配しなくてもいいのに」と思っている。思っているが、口にはしない。もし面倒だったらいいんだよ、とは最初に言ってある。自分のためにと手を尽くしてくれているなまえだから、それ以上は口にはしない。
なまえも箸をつけ始める。今日はこうした、今度これを作ってみたいという会話をする。
楽しそうになまえが話すのを聞くのが何よりもうれしい。この笑顔を毎日みられる喜びをこの瞬間、大いに感じる。

食事が終わり、食器も片付けてリビングで二人、ソファに腰掛ける。恋人当時から結婚して、今に至っても変わらずにくっついていられる幸せ。なまえの肩を抱き、そっと唇を合わせる。啄ばむような口づけから段々と深くなる。
あ、やばいかも。とブルーノの制御がきかなくなりそうになった時、なまえがそっと唇に指を当てて静止した。「あとでね」と小さく呟いた声はしっかりとブルーノに届いている。残念に思いながらも唇を離したブルーノは笑みを浮かべる。だって後でね、ということは後でちゃんと相手をしてくれるってことじゃないか。

結婚してまでこんなにいちゃいちゃと出来るとは思っていなかったが、なまえとこうしていることが心から嬉しい。そんな触れ合いの中で、ブルーノははた、とあることを思い出した。


「そういえば遊星がね、久々に会おうって」
「遊星が?じゃあアキちゃんたちにも会いたいな」
「皆に招集かけるって言ってたよ」
「本当?!久々に全員集まるかもね!」

ブルーノと同じIT会社に勤める遊星の案で、また久々に昔の仲間で会おうと言っていたことを話す。遊星とは同じ会社なのでちょくちょく会っているが他のなかまたちにはなかなか会えずにいた。なまえに関しては遊星が時折家に訪ねてくるくらいでブルーノ同様、他の仲間にはなかなか会えずにいた。
だからだろうか、楽しみだなあ、と頬を赤くして笑う。その笑みにつられ、ブルーノもふっと笑った。


「龍可ちゃん龍亞くんはまだ学生だし、居酒屋とかはだめだもんね。誰かの家が一番いいな」
「ホームパーティかあ。うちはマンションで狭いけど、ジャックの家なら広いから皆集まれるだろうね」
「遊星もマンションだけどそれなりに大きいでしょ」
「遊星は家の中を片付けるのがあるから大変だよ、きっと」
「ああ、まだ散らかし癖が残ってるの」

きっと遊星の家を選択したなら、早めに準備に来たクロウが遊星を手伝って片づけているだろう。下手したら全員で片づけてからになるかもしれない。
折角集まったのに其れは勿体ないので、無駄なものは置かず、最低限の生活をしているくせに広い家のジャックが一番適切だろう。


「早く会いたいなあ」
「日程も決まってないけどね」
「それでも!」

遊星に、なまえが楽しみにしてるって言わないとな。それで日程を早く決めてしまおう。企画も進めてしまおう。こんなにも楽しみにしているんだから、しっかりやらないとね。久々の再会をより楽しめるようにと、なまえの笑顔をもっとみたいからと。
なまえの肩を抱いていた腕は下へと移動し、腰に回る。ぎゅっと抱き寄せて更に密着して。ブルーノの肩に頭を当ててなまえはくすり、笑う。


「それまでにいい報告できるようにしないとね」
「いい報告?」
「家族が増えますーって報告、出来たらよくない?}


ね?と言ったなまえはとても優しい目をしていた。
僕はまだ二人きりでいてもいいんだけど、なまえがそれを望むなら。僕もその気になっちゃおうかな。
少し赤く染まった頬に唇を落とす。ああ、もう。はやく食べちゃいたい。




「あ、でもそれだとなまえ、お酒飲めなくなっちゃうけど」
「っあ!」

――――――――
遊星はブルーノとなまえちゃんの共通の友人で、昔の仲間の中心人物。
ブルーノちゃんと夫婦したい!
13.01.25.


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