久々に卓上デュエルを申し込んだ。いつもいつもソリッドヴィジョンばかりのデュエルだとなんだか凄い感が薄れてきてしまうと思ったから。…本音は壮大なソリッドヴィジョンを使ってデュエルするのが嫌だからだ。 カイザーの名を持つ亮とのデュエルとなると他からも注目を集めて面倒になる。私は静かに楽しむデュエルがしたかった。だからこうして亮の部屋でひっそり、卓上デュエルしていると言うわけ。 「…私のターン」 先ほどから最低限の会話とカードを扱う音が部屋を彩る。静かだ、静かすぎる。淡々と進むゲームに亮の様子を盗み見ながら次の手を考える。 「(淡々としててつまらなくないのかね)」 私は別につまらなくはないけれど、ソリッドヴィジョンに慣れてしまっているからか刺激が足りないと感じる。や、私は亮とのデュエルはすごく楽しいんだけど。 亮の表情はいつでも真剣そのもの。そういう姿勢は素敵だと思うよ、さすがカイザーって。ちゃんとほめ言葉に聞こえてる? 「俺のターン」 「ねえ」 「なんだ」 「なんか迫力ないなとか、つまんないなとか思ったりしないの」 「なまえはしているのか?」 「楽しいけどやっぱり迫力ないな、とは思う」 で、亮は。 答えを促すように口を尖らせて顎を動かす。結局感想を言ったのは私だけ、それはフェアじゃないでしょう。 「俺はなまえとなら、どんなデュエルでも楽しいと思うが」 躊躇いなく言ってのけた亮は当たり前のように言葉にする。当たり前に思ってくれるのは凄く嬉しいんだけど、それ、結構な破壊力を伴ってるって分かってる? ―――――――― こういうこと普通に言っちゃうと思うんですよね。 13.01.08. |