※注意
濁してますが生/理ネタ




昼休み、限界が越えて下腹部の鈍い痛みに耐えられなくなった。
ご飯は食べたけどとりあえず詰め込んだようなもの。味とかおいしさとか、気にしてる暇なんてなかった。とにかくこの痛みをどうにかしたい。その一心で。


「杏子〜鎮痛剤ない?もう限界…」
「そんな酷いの?ちょっとまってて、あると思うから」
「ごめんね」

いつも一緒にいる友達は持ってなかったし、近くの子も鎮痛剤は持っていなかった。用品を持っている子はいたけど生憎それは私ももっている。日程が近しい子はいたが、さすがに鎮痛剤は持っていなかった。
あとは気軽に聞けるのは杏子くらいで、いつもの仲良いメンバーでご飯中に失礼だと思ったけど声をかけた。

「おーみょうじ。大丈夫か?保健室は?」
「保健室は薬をくれないんだよ城之内くん」
「ああそっか」

保健室は怪我の手当やなんかをしてくれるが、薬をくれたりはしない。確か身体に合わないものをあげたらまずいとか?そんなことを聞いたことがある。
だから薬に関しては自己管理だ。

「ごめん、なまえ!なかったわ」
「えっ!マジか…どうしよう。さすがに辛いから帰ろうかな」

どうしようか、鈍い痛みを示し続ける下腹部をさすりながら考える。こんなに痛むとは思わなかったから薬を飲まなかった朝の私を恨んだ。
このままだと授業に集中出来ないし、保健室で休むだけならいっそのこと家に帰って薬を飲んで休んでいた方がマシだろう。

「鎮痛剤なら僕持ってるけど」

と、手をあげて言ったのはご飯を美味しそうに食べていた獏良くん。

「本当?!」
「うん。市販のでいい?」
「いいよいいよ市販でいいよ、助かるー!」

市販でも鎮痛剤。今この状況で助け舟!獏良くんありがとう!
学生の身としては休めるのはいいのだけれど、単位が実はギリギリだったり放課後に部活があるから休むと大変なわけで。
獏良くんの鎮痛剤所持は大変助かった。
席にきてもらってもいい?と言われたので全然平気!と馬鹿みたいに明るい返事をして、獏良くんの後に付いていく。
席につくと鞄を漁り、小さなケースを取り出す。

「女の子は大変だよね」
「えっ」
「あれ、違った?」
「ああ…うん。あってるよ」

ケースの中から目当ての鎮痛剤を出し、二粒分を私に差し出した。

「はい、これ」
「ありがとう、助かったあ」
「午前中も辛そうにしてたしね」
「み、見てたの?!」
「ここから丁度見えるんだ」

ほら、と指したのは斜め前の私の席。ああ、確かに斜め後ろからだと丸見えだわ。しかも自分の斜め後ろが獏良くんだって忘れてたし。

「じゃあいつも午後に睡眠学習してるのもバレバレって感じかな」
「眠いのはわかるよ」
「これじゃあ薬飲んで余計に寝ちゃうかな」
「薬に弱いの?」
「鎮痛剤とか副作用出やすくて。あとは疲れてるってのもあるけど」
「じゃあ余計にあげてよかった」
「え?」

獏良くんはいつも通り綺麗な笑顔で、天使みたいなオーラをだして私に微笑みかけてくるではないか。私だってイケメンすきだ!美少年に微笑みかけられてドキッとしないわけはない。
というか獏良くんはなんて言った?よかった、って、どういう…


「みょうじさんの寝顔がみれるなーって」

ちょ、獏良くんの言葉がよくわからないんだけど。えっとどういうことかな。そんな笑顔で言われて思考がうまく働かない。


「えっ、と…?」
「それにみょうじさん、このままだったら帰ってたでしょ?」
「う、うん」
「僕、授業中にみょうじさんの後ろ姿見るの日課で。いないのは寂しいから」

鎮痛剤もっててよかった、と、ほっとしたように笑う獏良くんに、顔に熱がたまっていくのがわかる。
ちょっと言葉の意味、わかってる?!

「ば、ばく、ら、くん…?」
「うん?」
「なに言ってるか、わかって、」
「うん。好きなんだよね、みょうじさんのこと」


未だ手に収まっていた獏良くんから貰った鎮痛剤。その手を包むように獏良くんの手が重なる。
ああ、もう、下腹部の痛みなんかどっかいっちゃったよ!



ずっと僕の視界にいて

(実は昨日から辛そうだったから、鎮痛剤わざわざ持ってきたんだよね)
(えっ)


――――――――
とかいう獏良くんね。薬を常備してる獏良くん。
バクラもすきだけど獏良くんももちろんすきです。獏良くん夢結構すくなくて泣きそう。
初出:12.08.29. 加筆修正:12.12.18.


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -