ちゅ、ちゅ、と音を立てたキスが空間を彩る。肩を押さえられ、綺麗な顔が近づいては唇を塞いでいく。
可愛らしい笑顔なのに、この肩を掴む手は男の子らしく大きいと感じさせた。そんなに強く掴まなくても私は逃げていかないのに。

「、ふ…」


ほんの数センチ唇が離れる。そこで酸素を取り入れて、ぽわぽわする頭を何とかする。今度は唇をはむ、と食べられ、了くんの舌が私の唇を撫でた。
そのまま舌が絡み合う。けれどそれもすぐに解放されて。

「っ、はあ、」

うっすら瞳を開けて了くんを見ればなんとも満足そうなにこやかな顔が目の前にあった。
口を開けて迫ってくる了くんに、私も口を開けて待つ。ぴちゃ、と舌と舌が触れ合えば早急に塞がれた唇。大胆に絡ませてくる了くんに私も舌を絡ませようとした。のだが。

ぐう、きゅる、るるるる……。


「…………」
「……あ」
「っ、ふふ、あっははは!」

重ねていた唇を離し、額をくっつけて了くんは私の目の前で爆笑。私はお腹が鳴ったのが恥ずかしくて顔を赤くしながら黙っていた。
笑いに満足したらしい了くんは瞳に涙をためている。
うう…恥ずかしい!


「ごめんごめん。お昼少なかったんだもんね」
「いや、うん、そうだね…」
「夕飯にははやいから、シュークリームでも食べようか?」
「うう、ありがとう」
「うん」

そういって了くんは私の唇に、ちゅ、とキスをして立ち上がった。
思わず白銀の髪を掴んで引き留めたけど、何をしようと言うわけではない。その手を取られて指先に唇を当てられたから、もういたたまれなくなった。

――――――――
万丈目くんと同じノリで。
初出:12.12.13.


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