「じゅ、ちょ、十代…」 「ほらほら、なまえ!」 十代が森で見つけたクワガタ?カブトムシ?とにかく甲殻を持つ昆虫を手に私に近づいてくる。 「まままままって!」 「大丈夫だって」 虫が苦手な私はもちろんダメで、幼虫だったら泣き叫んで逃げ出していたところだ。まだ成虫だからあれだけど、近づかれるとやばい。本当止めて欲しい。 そんな気持ちも知らず、十代は涙目の私に近づける。 「やめ、ちょ、ひっ」 ずりずり十代から逃げるように後退りする。だって気持ち悪いし、ほらって言われても触れないし! やだやだと後ろに下がってく。と、ゴンッ!と鈍い音がする。後頭部に衝撃が走った。 「ぐおっ」 「〜〜〜っ!」 声も出ない痛みにしゃがみ込む。何かに当たったが、何か確認できない。 いやでも「ぐおっ」って聞こえた気が。 「ってェ…」 当たった後頭部をさすりながら後ろを見る。すると額をさすりながらしゃがみ込む… 「「ヨハン!?」」 「お、おお」 「だ、大丈夫か?ヨハン」 「まあな。なまえは?」 「ああ、うん痛い…」 「…俺も痛いもんは痛いけど」 頭をさすりながらヨハンに向く。心なしかヨハンの額が腫れてるような。私の後頭部も腫れてる。 「痛いか?」 「あんだけ思いっきり当たればね」 「そうだよな〜」 笑いながらヨハンが私に手を伸ばす。何事かとそのまま待っていれば、後頭部に手が添えられ、ぐっと前に引っ張られた。 「っえ!」 「あー、ちょっと腫れてるな」 「う、うん」 「悪いな」 ヨハンの首筋に顔が近づく。というか抱き締められたような形にされている。 突然のことに頭が追いつかない私は完全にヨハンのペースだ。 「なまえ…」 はっ そういえば原因の十代もいたんだったと振り返ろうとすると、背後からどん!と衝突される。お腹に回されたらしい腕に、赤がちらちら見えた。 どうやら十代に後ろから抱きしめられているらしい。 「俺も、悪かった。ごめん」 私の首筋に、耳に息をかけながら言葉を紡ぐ十代。 身動きが取れず、暫く2人に抱き締められていた。 ―――――――― このコンビは普通にこういう、2人で挟んでぎゅ!っていうのをやりそう。 挟まれたい(本音) 初出:12.12.04. |