「ちょ、あっ」

首筋に舌を這わせて身体を熱くさせる。髪が肌をくすぐってむずむずする。

「んーいいにおい」
「嗅ぐなー」
「いいだろ。俺、なまえの匂いすきだし」

離さないように、逃げないように、強い腕の力で拘束される。未だに十代の髪の毛は肌をくすぐって。

「…くすぐったい」

グリグリと首筋に顔を埋めた十代。仕方がない、と私も十代の首に手を添えて、跳ねた髪を優しく撫でる。

「…すきだ」
「ん」
「なまえ」

背中に回っている手が服を握りしめたのを感じた。大丈夫、私も十代がすき。言葉にして紡がないけど、この抱擁でちゃんと伝わってくれるかな。
背中をぽんぽん、赤ちゃんをあやすように優しく叩く。大人になった彼がこんなにも赤ちゃんのように甘えたなのは初めて。
でもそれが嫌なわけではない。
むしろ可愛くて、何でも背負ってしまう彼が甘えてきてくれることが嬉しくて。


「だいすき、十代」


髪に隠れた耳を唇で探し当て、柔く噛みつく。ふ、と息を吐けば十代の舌が首筋を舐めるのを感じた。
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初出:12.11.30.


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