こうして抱きしめられるのは何度目だろうか。私が遊星とアキの二人を見て心が締め付けられる度に、ジャックに慰められている。ジャックが私のことを好きだと、確信している、から。私の想いが届かないと分かっているから、ジャックに甘えてる。
…酷い女。
でも私は止めることが出来ない。完全には諦められない。私もジャックも同じ、届かないからといって諦められない、意地っ張りで諦めが悪い人間同士。寄り添いあって寂しさを紛らわせて。

「なまえ…」
「ん、…毎回、ありがとう」
「いや、気にするな」

身体を離したジャックは私の髪を一束、掴む。口付けて離せばさらりと落ちていく。

「どうしても、俺ではだめなのか」
「…どうしてもじゃ、ない。でも」
「でもお前は―――」

振り向いてはくれないのだろう。
細められた目が私を射抜く。それに私は答えない。肯定も否定もしない私にジャックは再び抱き締める。

「酷い女ね」
「全くだ」
「ジャック。…ありがとう」

ねえ、こんな私をどうして貴方は好きになったの。

12.12.13.


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -