「卒業したら俺の家族になってくれよ!」

は?と思わず口にでたのは仕方がないと思う。なまえだけでなくその場にいた十代、明日香、翔、剣山もヨハンの言葉に口を開けていた。

「か、家族?」
「家族!」
「えーっと?」
「俺と結婚してほしい。なまえをお嫁さんにしたい」


ヨハンとはまだ出会って一週間。
授業以外の時間も多く共にしているがそんなことを言われるような関係でもなく、そんな雰囲気になったこともない。

「あのね、アンデルセンくん」
「なんでなまえはヨハンって呼んでくれないんだ?」
「…あのね、ヨハンくん」
「おう!」
「寂しいからって日本(こっち)で専用の彼女つくりたいだけでしょ」
「そんなことあるわけないだろ」

至って真剣に話すヨハン。あの十代までもがヨハンから振られた話に眉をひそめて聞いている。
外人の考えていることはよくわからないものだ。

「意味が分かんない…まだ出会ったばっかだよ!」
「出会ったばっかじゃいけないのかよ?!」
「ヨハンくんのことよく知らないし」
「これから知っていけばいいだろう」
「だからって今から結婚考えるとか、早い気がするんだけど」
「いや、早くない。結婚を前提してお付き合いだ」
「この年で結婚前提のお付き合いが早いって言ってんの」

しかもあんた海外住みでしょ!私は一生日本で暮らすって決めてるんだからー!

「いいだろ。だってなまえのこと、すきなんだ」
「…それは嬉しいんだけど」
「どうしてもか!ダメなのか!どうしたら結婚してくれるんだ!」


俺の大和撫子はなまえなんだ!!
とそのままなまえを抱きしめたヨハンにもう何も言葉がでかなった。
「こいつを“大和撫子”なんて括りで括ったら、結構な人数が大和撫子になる」って言った十代はその後こらしめてやった。

――――――
出会ったばっかで「卒業したら家族に〜」と言わせたかったのと、「寂しいからって〜」を言わせたかったのと、「大和撫子」を言わせたかっただけです。
十代は大和撫子って言葉知ってる…?
初出:12.11.11. 加筆修正:12.12.24.


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