※ちょっと下品? 吹雪に連れられ、優介と三人で亮の部屋に押しかけた。 体調は悪かったが、いつも通りにぐだぐだする予定なので大丈夫だろう。 しかし生理前とあって私はすこぶる眠い。亮のベッドを占拠し、眠気と戦っていた。胸が張っているのでうつ伏せではなく仰向けなのだが。 「なんで仰向けで寝てるんだ」 「胸が張ってるから」 「ぶっ」 「うわ、藤原きったないなー」 純粋に聞いてきた亮にありのままを応えると優介が飲んでいるものを噴き出す。汚いと他人事のように返したのは吹雪。部屋の主である亮はあわててタオルを持ってきた。 「仕方ないでしょ、生理前は張るの」 「あ、ああ、ごめん」 「じゃあ今なら子供作れるね?」 「「吹雪!」」 「…サイアク、吹雪」 「ハハッ ごめんごめん」 吹雪は普段から冗談とかばかりで、こういうことに限って本気を交えてくるからあんまり冗談に聞こえない。 なんか三人といると疲れる…というか、眠気が半端じゃない。 「ねえ、ちょっと眠い」 「寝ても良いけど襲っちゃうからね!」 「吹雪は止めておくから寝て良いぞ」 「亮は優しいねー」 「…自分の部屋に戻れよ」 「あんたと吹雪が連れてきたんでしょ」 三人とも違う反応をされて、その反応の方向性が三人とも違うから対応する方も疲れる。 ああ、もう。なんでこの三人といるのだろう。ただ自分の疲労を増やすだけじゃないか。こんなに眠いのもこの三人といるからだ。といっても、亮は別に面倒なことをいうわけではなく、私と同じ被害者になる場合が多い。ちょっと純粋な天然発言がたまにアレだが。 「…寝るからね」 「じゃあ俺が頭を撫でてやろう」 よっこらせ、と立ち上がった優介は私の頭のすぐそばに腰を下ろす。その分ベッドが沈み、頭が傾く。 そのまま優介が私の髪を梳くように撫でれば程よい眠気が急に襲ってくる。気持ちいい。頭をなでられるなんて、アカデミアに来てからなかった。もう大人なのだし、よく頭をなでられるというのも変なのだが。 「あ、藤原ずるい。じゃあ僕はなまえの胸を揉む!」 「来るな遊び人」 「そうだ、俺の邪魔をするな吹雪」 そういった優介は髪ではなく耳を触り始めた。ちょ、くすぐった…! 「優介、やめ、触んない、でよ…!」 「ああ、なんだ。色っぽい声も出せるじゃないか」 「や、…っゆうすけ!」 どうして私の眠気の思うままにしてくれないのだ。優介はこうみえて人をいじるのが好きだ。だからこうやって私の反応を見て楽しんでいる。 そうやって優介とじゃれあっている私をベッドの端から吹雪が見ていた。 「ずるいよ藤原〜なまえ〜」 「吹雪、もう静かにしていろ…」 この三人の中、同じ苦労を背負う亮だけが、私を静かに眠らせてくれようとしていた。 ああ、もう。なんでこんな三人と一緒にいるのだろう。…なんて、考えるだけ無駄だ。結局一緒にいなければつまらなくなるのだから。 ―――――――― 吹雪さんが遊び人なイメージです 初出:12.09.21. 加筆修正:12.12.22. |