※後半少し卑猥



真っ直ぐアリト達のところへ行くはずだったのだが、よくわからないところへと出てしまった。本や資料が多く積まれたところだ。意外と広いらしく、幾つもの本棚が視界に入る。少し埃っぽく空気が悪いとすぐに感じた。

「…どこだ、ここは」

慣れていない人間界に勝手に出歩くのは良しとしない。今回は大人しく戻ってアリト達の報告を待った方がいいだろうかとため息を吐いたところだった。


「誰、ですか?」

声のする方を見れば、こちらの存在を問いかけたと思われる少女。表情から読み取れるのは戸惑いと、こちらに警戒を示しているということ。
姿を見る前に消えてしまえればよかったのだがもう遅い。このままここから消え去るのは少女に多くの疑問を残すことだろう。ならばこの少女にここは何処か場所を聞き、人気のないところで戻ればいいと考えた。

「ああ。すまない、君はここが何処だか知って…」
「なまえー?」
「っ!こっち」
「え、ちょ、」


棚の陰からか、目の前の少女とは違う声がした。それに気が付いた少女は私の腕を掴んで誘導していた。何処かわからない場所で何処へ連れて行かれるかもわからない。そんな状況なのに、私は自然と落ち着いて少女に連れて行かれるままついていった。
抵抗しようと思えば簡単に少女の手を振り切ることができた。しかしそれをしなかったのは少女が声のする方から逃げていたと気が付いたから。

目的を見つけたのか、少女は「あった」と小さな声で呟く。きっと口に出ているなんて思ってもいないのだろう。私に聞かれているにもかかわらずそのまま足を速める。
ロッカーの目の前へと着いた少女は静かに扉を開けた。後ろにいた私を振り返り、そのまま中へと押しこみはじめた少女。さすがの私もこれには驚き、抵抗はしたものの…


「部外者が此処にいたらまずいです、大人しくここにいてください!」
「いやだから、ここは何処だと」
「あーもう!」


小さな声でぐいぐいロッカーに押し込んでいた。が、時間がないためか抵抗した私を押し入れて、少女までもが中へと入ってくる。そのまま後ろ手にロッカーの扉を閉め、私と少女は必要以上に密着した。
少女にしては発育している胸が私の身体に密着することよって押しつぶされる。私の脚の間に入ってくる少女の身体と露出された脚。思わず息を止めて少女の行動を伺っていた。

ロッカーは完全に閉まってはおらず、少女が外の様子を見ている。外からはわからない程度の隙間を利用し、目と耳を駆使していた。やがて声が聞こえなくなったことを確かめた少女はロッカーの扉を開ける。身を乗り出して周囲を見回す。
誰もいないことに安心したのか、私の身体もロッカーから出してからため息を吐いた。


「はああ…」
「…知られては行けなかったのか」
「あ、当たり前です!ここ学校ですよ!」

学校…ということはここは学生が学ぶ場所。この少女は学生というわけか。成程これが制服というものか。はじめてみるものに興味を持った私は少女をじっとみる。
「部外者なんですから見つかったら大変じゃないですか!」とぶつぶついう少女はどうやら不法侵入をしたらしい私を見つからないよう庇ってくれたようだ。理由は分からないが、まずは少女に礼を言うべきだろうと口を開いた瞬間だった。


「えいっ」
「な!」

眼鏡を少女に奪われる。ぼやけた視界は今まで見えていた世界とは全く違い、輪郭も、なにも確かに映してはくれない。それでも奪われた眼鏡を取り戻そうと少女へ腕を伸ばしてみる。が、見えない視界でどう足掻こうとも奪い返せることはない。

「か、返してくれ!何も見えない…っ」
「へえ、そんなに目悪いんですか」
「貴様!」
「貴様じゃなくて、私、なまえといいます」

大体の眼鏡の位置は少女の…なまえの腕の色で分かるのだが、役に立たない視界でちゃんと捕らえることはできない。背は私より小さいものの、すばしっこく眼鏡を動かして奪われないようにする彼女に手を様々に伸ばし続けていた。


「どうしてここにいたんです?」
「そんなこと、私が知りたい」
「応えないと返しませんよー」
「知らないと言っているだろう!」
「じゃあお名前教えてください」
「ドルベだ!いい加減に返して…」


むにっ


「…え」
「………結構、目、悪いんですね」

何かに当たった手をそのままに、なまえが外した眼鏡を元に戻す。思ったより近い距離になまえの姿が在ったことにより一瞬身体が止まる。
そして自分の手が触れている部分がなまえの胸部ということを理解した頭は反射的に手を離した。う…あの感触は彼女の胸に触れてしまったということだったのか!

「す、すまない!わざとではっ」
「その反応だと本当でしょうね」
「本当、に、すまない…」

かああ、と顔が熱くなるのが手に取るようにわかる。
女性の身体を無闇に触ることは失礼で不愉快なことだと読んだことがある。この場合、彼女に対して私が不愉快なことをしてしまったということだ。彼女が私の眼鏡を奪った結果、視界がぼやけ、距離感覚などが鈍くなっていたことが原因だとしても。
彼女も眼鏡を外したことが原因だと気付いている。だからこそ今の難しい顔をしながらも怒鳴らなかったのだと思う。
私も一応反省はしている。彼女もしているのだろう、と思った。


「まあそうですよね、私が密着しただけで反応しちゃうくらいですからね?」
「っん、あ!?」


未だ近い距離にいたなまえは更に近づく。そして私の下半身へと手を伸ばし、ズボン越しに男性生殖器のかたちをなぞるように撫で始めた。
知識としてしか持っていないことに、今起きていることを当てはめてみる。これは男性が生殖行動をする際になる形態ではないのだろうか。なら何故、生殖行動をするように形態が変化したのだろうか。

「勃っちゃってますけど、大丈夫ですか」
「ふ…、ぅ、く」

分からない事態に、回らない頭に、なまえが下半身の生殖器に触れている感覚だけが伝わっている。


「ふふ。知ってます?」
「っ何を、だ」
「ここ、さっき鍵かけられちゃったんですよね。だから次の授業が終わるまで出られないんです」


クスクス微笑む彼女の笑みに深い意味を見いだせなかった。ただ近付く顔と皮膚に触れた息は熱く、吐き出した息が釣られて熱を含む。

ねえ、ドルベさんの所為ですよ?

私のベルトを外す金属音が、吐息と共に空間を埋めた。

――――――――
ナチュラルスケベなドルベさん、からの夢主ちゃん攻め。ドジっ子だから普通に名乗っちゃいました。
後編は思いっきり裏です〜
13.05.01.


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