「なまえ!」
「な、なに…」
「なまえは俺のことが本気で好きではないのか!?」
「はあ?」

がっしりと掴まれた両肩。ぶっちゃけ痛い。
冷静さを失うなんて亮らしくないし、取り乱すとこんなにも力強く掴まれるのか。次からは覚悟しよう。

「誰よそんなこと言ったの」
「ふ、ぶき、が、」
「……ふーぶーきー?」
「吹雪がっ なまえは俺のアピールに圧され負けて付き合ったんだって、言って」

未だ掴まれている肩の痛みはもう無視。それよりも何で吹雪がそんなことを亮に言ったかだ。
確かに私へのあの猛烈なアピールに吃驚したのは確かだ。今までの大人しかった亮が「昼を一緒に食べないか」「ちょっと散歩しないか」「デュエルしないか」「隣の席、いいか」とか等々、自ら行動してきた。流石に吃驚しすぎて当初は口をあんぐり、目をぱちくり。
そのあとの告白で行動の意味がわかったわけだが。

「まあ正直なところ、あの亮には吃驚するしかなかったけど」
「っ!!」
「話は最後まで聞いて下さい」
「あ、ああ…すまない」

亮は私に嫌われることがいやで、何かと私にあわせて行動している。…というか私の顔色を伺いながら?私の好みに合わせて?とにかく私に嫌われないように常日頃、行動をしているわけ。
多分、私がキライなんて言ってフった日には部屋に閉じこもって出て来ないと思う。それほどに私を好きでいてくれている。

で、何で吹雪が亮にこんな話をしたのかと思えば……きっとからかいだろう。純粋な亮の気持ちで遊んでるようだ。
だって吹雪は亮が私に嫌われたくないと思ってるのを知ってるし、勿論私が亮を本気で好きなことを知っている。だから亮をからかって、私に何とかさせて、私たち2人をからかっているんだ。


「あのときの亮には吃驚したよ。でも私も好きだったから今、付き合ってるの。勢いで、亮の気持ちに圧されて付き合ってるわけじゃない」
「なまえ…」
「はい、わかったなら肩の手どかして。地味に痛い」
「すま、すまない!!」
「はあ。亮も信じないの」

しゅんと肩を落とす亮の頭を背伸びして撫でる。


「全く、吹雪は毎回毎回…」

からかって遊ばないでよね。
亮は純粋で、なんでも信じちゃうんだから。

――――――――
ヘタレ?いや、彼女に嫌われるのがいやなカイザーが書きたかったのです。
一人の人を大事にしてそうだから、余計に嫌われたくないと思ってる。…のです。
初出:12.09.19. 加筆修正:12.12.18.


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