睫毛に艶やかな夜をおとす | ナノ



※鬼道×春奈で高校パロディ

※春奈が援交紛いな事をしてるので、相手に原作に出てこない男が出てきます。
※原作やキャラに夢を抱いてる方は読まない方が得策です。






「私の初恋は実兄なんです」

出会い系サイトを使い始めて早五年。これまでに数えきれないほどの人間を見てきた。ツンデレヤンデレS嬢ドM、刺激が欲しいあまり男に手を出したりもした。手練れとは言わないにしても、そこらの野郎共よりは、多くを相手にしているはず。
しかし、今、この少女を前に、俺は今までに無いほど狼狽している。
女子高生は初めてじゃない。でも、お水の女のような手慣れさを感じる女子高生は初めてだ。

「君、ほんとに初めて?」
「はい。初めてです」


じゃあ、何でそんなに慣れた手付きをしてるんだよ。
そんな俺の考えはもう読んでいるらしい。春奈、と名乗った少女は、この場に来た理由を、冒頭の言葉から始まり懇切丁寧に、事細かく説明した。長い語りだったが、その全てがストン、と不思議に聞き入れられた。

「私は兄が好きで、兄も私が好きです。キスだってしました。もう、好き合って二年です。飽きなんか来ません。むしろ、どんどん兄を求めるようになりました。けれど、兄はそれ以上を求めないんです。兄にとってこの関係は、兄妹以上で、恋人未満なんです。私には、それが、兄が私を拒絶しているみたいで怖かったんです。私は、兄が全てを受け入れてくれると信じていました。いや、きっと兄は優しいから、こうなったのは、私に非がある。そう気付きました。私には、兄を惹き付ける魅力が皆無だったんです。兄のため自分のため、一から百まで学びました。兄を思いながら自慰もしました。けれど、実際にやってみないと分からないことも多々ありますよね。だから、私は貴方を利用するんです」

よろしくお願いします。と頭を下げられ、どうして良いやら分からなくなった。
いや、お願いされたのだから、それに応えるべきなのは分かるが。この純真無垢な少女に手解きをする自信は、到底無かった。
しかし、餌を目の前にぶら下げられて飛び付かない獣など、普通は居ない。


この、小さくも柔らかな体躯の中には恐ろしくも美しい"女"が存在するのか。
おそろしや、と思いつつ、行為は約一時間ほどで終わった。春奈は、満足げな顔で部屋を出ていった。
自分は、と言えば、これまで経験した中で一番心地よい体験の後だったので、最初から最後までぼんやりとしていた。我ながら哀れだ。
そして、少女が去って1年経った今も高揚で体が宙に浮いている感じだと言うんだから仕方ない。本当に惨めな大人になってしまった。

こうやって回想してみると、最後に彼女とした会話の内容が、つっかかる。いや、会話というか、彼女の独り言か。
とにかく、その言葉が魚の骨になって、消化気管のどこかに詰まった感じになっている。


「なんで、兄弟間にできる子供は異形になる、って言われてるんでしょう」

ぼんやり、彼女の言葉を反復してみる。
その時は、「科学的に証明されている事実だから」という面白味の無い答えを考えていた。
が、彼女は、端から答えなんかを求めていなかった。

「あれって、親が子供たちを間違った道に進ませないために言う、教訓的なものだと思ってるんです」

私の考えなんですけどね。

にこやかに笑った彼女の顔が、その日見ていた中では一番、少女の顔をしていた。
今ごろ、春奈は、実の兄と何度、深い夜に溺れたんだろう。










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不純さんに提出。



10/10/30
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