蝶よ花よ
きっと、両手で抱えきれないくらいの
幸福を、生まれたときに、もらったので、これからは取りこぼしてゆくしかない人生なのだと思います
悪い夢を楽しめるようになったら、あなたも、あなたの嫌いな、
子供になれるのです
あなたがいなければわたしは振り返らず
生きることができたけれどそうでなければわたしは生きてはいられなかったでしょう
あなたがくれなかった、
愛とそらごとでわたしはいきてゆかねばなりません
後日談
遺書の反古紙の裏に劇薬で書きつけた
約束を今も信じているのです
花にうずもれるあなたを見るのはこれが最後です
番外編
ただひとつお許しください、わたしのむこうがわのひとに
嫉妬するのを
長い別離やたくさんの喪失を私たちは
口づけで埋めようとするのでしょう
title 草熱