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▼ 鬼兵隊娘の受難

ある巨大な空飛ぶ屋形船の一室。とある女ととある男が対峙している。片方は鬼兵隊の女志士、名前。もう一方は人斬りの異名を持つ鬼兵隊幹部、万斉。二人は何やら会話をしているようだ。


「どうでござる、名前なら成功間違いないでござろう」
「だが断る」
「…即答でござるな」
「当たり前じゃん、むしろふざけんなって言いたいね。何であたしがそんなことしなきゃなんない訳?」
眉間に深い皺を寄せて万斉を睨む彼女の口調は果てしなく面倒臭そうである。
「お主にはそれ程の才能があるということでござる」
「才能だか何だか知らねーよ。あたしは鬼兵隊でいっぱいいっぱいなんだから」
「そう言わずに、新しい己を目指してみるのも一興でござるよ」
「興味ないわ、そんなにやらせたいのかお前は! 新しい私、歌手デビュー☆とかふざけんな!!」
思わず叫ぶ名前に、万斉は驚愕する。
「何故でござる…」
「阿呆か、そもそも攘夷志士がそんな目立つ副業出来るか!」
「それをやってのけるのが名前でござろう」
「そこにシビれる!あこがれるゥ!ってか?! 妙な期待を持たないでほしいね。…てかね、まずこれはないよね、これこそ最大の厄だよね」
「何がでござる?」
「ナメてんのこのコスチューム?」
名前の持つ写真にはフリフリピラピラ、ピンクが眩しい衣装が写っていた。短いスカート、無数のリボンで子供っぽい。
「名前なら絶対似合うでござる」
「えらい自信だなァーオイ殴っていい? いい歳こいてこんなモン着れるか!! 視界の暴力じゃァァァ!!」
その勢いで写真を思い切り床にたたき付けた。
「しかし鬼兵隊の中でもその衣装で歌手デビューを指示する声があがっているでござる」
「武市か? 武市なのかあのォ変態ロリコン!!」
「晋助もでござる」
「マジで!!?」
劇的告白に名前は目をひんむいた。
「隊長からの指示もある、やはりここは立派に歌手デビューを果たすべき…」
「やらねーよ! ガッカリだよ晋助様!」
「確かに名前がこれを着なければガッカリするでござろうな…」
「そっちじゃねえよ! 何なのもう、つんぽだかち○ぽだか知らねーけどいい加減にしやがりなさいよォォ?!」
「女子がそんな言葉をはしたない」
「うっさい、あんたが紛らわしい名前してるからでしょが! てか今ふと思ったらまた子はへそ出しパンツだし武市は変態ロリコンだし岡田は臭いフェチ(推測)だし、鬼兵隊の連中みんなそんな奴ばっかじゃん!!」
「……、」
ここで何かに気付いたらしい万斉。しかし名前は熱弁を続ける。
「ついでに言ったら晋助様なんてもう…何かもう、歩く十八禁じゃねえかァァァ!!」


「ほぉ…そりゃどういう意味だ?」


背後から聞こえた声。名前は思わず喉からヒッと声を漏らした。
「し…晋助、様…?」
「クク…随分言うようになったなァ、名前?」
ゆったりと紫煙を吐き出す高杉に、冷や汗が止まらない。
「や、違うんですコレはその…万斉コノヤローに煽られて…」
「あぁ? 万斉なんぞどこにいやがる」
「え…(って逃げやがったあのやろォォォ!!)」
「お前にはいっぺんこの船での在り方ってのを叩き込んでやらねーとなぁ?」
「えーいや、ノーセンキューです、マジでごめんなさいごめんなさいゴメンナサイ」
「俺の部屋に行くか、逃げようなんざ思うなよ?」
「ぎゃ」
高杉が後ろを向いた瞬間、名前は走り出す姿勢を取ったが、あっさり襟首を捕まれる。
そして、必死の抵抗も虚しく引きずられて行く名前であった。



後日、フリフリピラピラ、ピンクが眩しい衣装を着た名前の写真が船内の至る所に張り出されたとか。



おしまい。






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初銀魂がコレだよ!すぐ下げそう。
2011.4.1


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