愛ってなんだろうな。ってたまに考える。

愛。
好きの延長線上にあるもの。
人を大事にする心。
慈しむ心。
あとは…何だろう。
よくわからない。


「おい、早くこっち来いよ」

腕を引っ張られ、はっとして我に返る。

「先輩、」

口に出してから、ああそうだ今日は神崎先輩とだった、と思い出した。










最近、男遊びが激しくなった。
男のくせに男遊びが激しいってどうなのって感じだけど、なかなか女の子が相手してくれないから仕方ない。
ったく、俺のどこがダメなんだか…。
皆目検討もつかない。

男鹿も居なくなったことだし。

そろそろ俺は女の子にモテまくっても良い頃のはずなんだけどな。おかしいなあ。









「俺、お前が大嫌いだ」

俺がそう言うと男鹿は妙に冷たい態度で「あっそ」と言った。
ついでだから、と罵詈雑言吐いてやったら殴られた。
それもけっこうな力で。
さすがの男鹿もイラッと来たのだろう。
殺す気かよ、と咳き込みながら顔を上げるとそこには自分の拳を見下ろして瞳を揺らしている男鹿の姿。
なんで殴った本人が戸惑ってんだよ本当馬鹿だなこいつ。
つか今の無意識だったのか、うわー。

「そうやってすぐ暴力に出るとこも、嫌い」

本当馬鹿。俺馬鹿。
思いっきり睨んでやるつもりだったのに、目を逸らしてしまった。
てか痛すぎて涙目だったし。
逸らした視線の先には、こっちの様子には全くお構い無しでだんご虫と戯れるベル坊が居てちょっとだけ和んだ。

「俺だって」

でもその現実逃避もつかの間、男鹿が吐き捨てるように言った言葉で即こっちに戻された。

「俺だって、お前なんか大嫌いだ」

あーあ。
こいつのことだからそれくらい言われることは予想範囲内だったんだけどな。

「…あっそ」

きついよ。





それが1か月前の話。

あれから俺は男鹿と一緒に行動していないし、話すらしていない。


「お前ってさぁ、何かを求めるようにセックスするよな」

情事後、神崎先輩がそんなことを言い出した。

「何か、って何ですか?」

快楽とか?と首を傾げたら「そういうのじゃねーよ」と言って神崎先輩は渋い顔をした。

「わかんないんですけど」

「俺だってわかんねーよ」


この人やっぱ馬鹿だ、と思った。





求めてるのは、多分、愛ってやつだ。










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続き、ます
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