あまりに彼が俺に愛をくれるから、忘れていた。

「なあ、いくつチョコもらったんだ?」

「さあ」

今日はバレンタインデー。
俺の恋人は大量にチョコをもらってきた。

忘れていた。
彼はすごくもてるんだった。

…危機感を察知した。

「ねえねえ、俺からも欲しい?」

「くれるなら」

にっこり。
あ、大丈夫そうかも。

…いやいや、何があるかわからんだろ…。
もしかしたらチョコと一緒に連絡先とか入れてる奴もいるかもしれないわけだし。
そんでこいつが連絡しちゃって「あー!」

だめだあああああ!

「え、どうした?」

おっと…取り乱してしまったぜ

「なんでもないよ」

にっこり。
さっきこいつがしたみたいにしようとしたけど失敗した気しかしないわ。
俺はこいつみたいに美形じゃないんでね!くそっ

「そう?でさ、くれないの?」

「は?」

「ちょこれーと」

「あ、ああ……実は用意してないんだよね。ごめん」

「………」

あ、落ち込んだ。
眉尻が下がってお預けくらったわんこみたいになってる。

「いや、でも、ほら、今日いっぱい貰ったんだろ?いいじゃん」

な?と諭してみても嫌みみたいになっちゃってうまく誤魔化せない。
こいつもなんか黙ったままだし。あ、もしかして怒った?

「音な…」

「日向」

「え、なに」

やっぱ怒ってるんかな…。

少し申し訳なくなって俯く。

「………」

「………」

「……はあ」


こつん。


「うぇ?」

長い沈黙のあと、何かで頭部を叩かれた。

顔を上げると音無が青いリボンの巻かれた白い箱を差し出していた。
今叩いたのそれか。

「ほら、これ」

「お、おう」

思わず受け取る。けど…
え、なにこれ。

頭にはてなマークを散らしていると音無が何か言った。

「…ったの」

「は?なんて?」

「作ったの!」

「え、なにを」

「ちょこれーと!」

「誰が」

「俺が!」

「誰に」

「日向に!」

「まじでか!」

衝撃的な出来事にテンションがMAXになるきゃっほーい!
てか、えっ、すげー嬉しい!
あと顔赤くなってる音無可愛い!

「音無ありがと愛してるー!」

勢いつけて音無に抱きつく。
チョコはちゃんとテーブルの上に置いたぜ。

「わっ、ばか!」

とか言いつつ音無は俺を受け止めてくれる。
そういうところも、たまらなく好き!

「おとなしー」

「なに…っん」



チョコより甘いキスをして



俺たちは今日も幸せです。










――――――――――
確かに恋だった

季節外れにもほどがありますねw




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