「兄さんは僕なんかいなくたって平気だろ!?」


そう文人が叫んだ言葉が、僕の心に深く突き刺さって、


「…そうだよ、文人なんか」


一番言ってはいけない言葉を、僕は


「文人なんか、要らない」


君に突き刺した。


















ずっと一緒だと思っていた。
2人で1つだと信じてやまなかった。
だって、そうだろう?
僕らは双子で、たった2人の兄弟で、僕には文人が居れば良くて、文人にも僕が居れば良かったのだ。

なんて、思ってたのは、僕だけだったのか。






ある日、文人が僕の知らない男の人と歩いているのを見た。
2人はとても仲が良さそうで、なんというか、良い雰囲気で。


僕の入る隙間なんて無い感じで。


そこは、文人の隣は、僕の場所だったはずだ。僕だけの。


それなのに、それなのに、それなのに…!









僕は元々短気で、自分の居場所を取られてそれを笑って許せるほど心が広くもなかった。



怒りは爆発した。








その夜、僕は文人を押し倒し、問い質した。


「文人、昼間一緒にいたあの男の人、誰?」











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