「ただいま文人」 兄さんは帰ってくるといつも僕をぎゅうと抱き締める。 「兄さん、おかえりなさい」 勿論僕も抱き締め返す。そうすると兄さんは嬉しそうに微笑み、僕の唇に自分のそれを押しあてる。 ちろりと舌先が触れ合うと僅かに背筋に電流が流れる感覚がして、思わず続きを催促してしまいそうになった。 もはや日課となっているこの行為。 これが兄弟にしては少しいきすぎていることに、僕は気付いていなかった。 気付くわけがないのだ。 僕には兄さんが全てだったから ――――――――――― 僕を構成する要素=兄の愛 ■我は虫喰い ← |