庭球番外編 | ナノ

▼ たこ焼きパーティ


∴ししししの続き




「俺ん家でパーティするのは構へん。やけどたこ焼きに限るわ!」

なんて迫力ある顔で勢いよく言われたら向日も何も言い返せなかったようで。
焼き鳥パーティはたこ焼きパーティへと変わったのでした。ちゃんちゃん。

「ちゃんちゃんじゃねーよくそくそっ!焼き鳥食べたかったのによ!」
「一昨日食べたからいいじゃんか」
「ねー、なんで俺誘ってくれなかったのなまえー」
「ジローくんその日は店番だったんでしょ」

忍足くん家のソファで向日とジローくんに挟まれながらくつろぐ。向かい側のテーブルには宍戸と鳳くん、日吉くんがテニスの会話していた。

「ちょ、ぐーたらしとらんと窓開けや。煙こもるわ。あと換気扇も」
「じゃあ向日窓開けて。忍足くん、換気扇どこ?」
「そこの壁の…ああ右 右」

たこ焼きのタネを作ってる忍足くんの作業を隣でガン見してる跡部くんに、タコを一口大に切っている滝くんと樺地くん。
なんていうか、滝くんと樺地くんのエプロン姿は似合うけど、忍足くん似合わないな。換気扇をつけ、窓を開けてそのままベランダに出た向日へ近づく。ジローくんも寝ぼけ眼でついてきた。

「たこパかー。忍足くんのたこ焼き美味いらしいね」
「つかエプロン似合わねえよな侑士!」
「それは誠に。あの髪邪魔じゃないのかな…」

タネを作り終わり、ほな焼くでと声を出した忍足くん。わーっと子供のようにたこ焼き機に集まるみんなが素直すぎてかわいいね。

「すげー!侑士タコ入れるスピード速え!」
「クルクルするのも速いCー!マジマジすっげー!」
「たこ焼きは速さも手のコツも大事やからなぁ」
「さすがだな忍足。お前の千の技の一つか!」
「ちゃうけど」
「だてに氷帝の天才やってませんね」
「日吉くんそれあまり関係ないよ」
「ねーねー、なんか変なの入れようよ。チョコとか」
「ジロー…なに言って」
「おっいいね!唐揚げ入れようぜ!」
「それ絶対はみ出るやろ」
「なに、たこ焼きってのはいろいろな具を入れていいのか。ハッ、おもしれーじゃねーか。樺地!」
「ウス」

樺地くんがどこからともなく梅干しや昆布、柿ピーやチキンラーメンを取り出す。ぎょっとする日吉くんに宍戸に向日に忍足くんに私。
恐る恐る口を開く宍戸に、私たちの気持ちが乗せられた。

「なんだよ跡部それ」
「ああ安心しろ。お前たちの舌に合わせてある。なんせこの間スーパーで買ったからな!」
「清々しいほどのドヤ顔だね跡部くん!」
「入れると思っとるんか」
「明らかまずいっしょ」
「……」

寝ぼけ眼はどこに行ったのか、ジローくんは本当に哀れむように跡部くんを見た。固まる跡部くん。
やめてあげてジローくん。跡部くんは本気だからもう少し優しく言ってあげて。てかチョコもどうかと思うからね。

「梅干しは生で食べた方が美味しいよ。せっかくだからいただくね跡部」と優しくフォローした滝くんに乗っかって「私も久しぶりに柿ピー食べたいな」と柿ピーをもらった。
「実は俺様も食べたことなくてな」と柿ピーをもそもそ食べ始めた跡部くんはどうやらすぐに復活したらしい。

「できたで」

柿ピーや梅干しやらを堪能していればいつの間にかお皿にたこ焼きがいっぱい乗っていた。拍手喝采。こんなにイキイキしてる忍足くんはなかなか見れないよ。

「マヨネーズいる人ーソース多めがええ人ー紅ショウガつける人ー」
「あっ俺マヨネーズいっぱいかけてくれ侑士!」
「青のりを歯につけて笑っている人を見るのは耐えられませんよね」
「日吉くんなんで私見て言うの?注意?気をつけろってこと?」
「うわ!すごいですよ宍戸さん!外がカリカリしてます!」
「すげえな忍足。さすが特技がこれだけなだけあるぜ」
「宍戸ケンカ売っとるん?」
「はい樺地くんも食べな食べな!体大きいからいっぱい食べるよね、私の分からいいよ」
「いえ…自分はこれだけで…」
「遠慮しなくても」
「なら俺がもらう!」
「俺もー!」
「あっ向日ジローくん!貴様ら!」
「あっちぃ!」
「芥川先輩、ちゃんと冷ましてから食べないと火傷しますよ」
「ん、うまい。やるじゃねぇか忍足。樺地、遠慮せずに食いな」
「ウス」
「あ、みょうじちゃんソース取って。忍足、これ手製のソース?やるねー」
「さすが滝。よぉわかっとるやん」
「みょうじみょうじ!見てみそ!このタコデケェ!」
「ちょ、落とすよ向日!」

みんなとワイワイしながら食べていき、お皿にはもうたこ焼きがなくなった。私はいいけど成長期プラス運動部の彼らが満足するはずなく。
第二回戦が始まることになりました。

「ほんなら二回目焼くで」
「今度はチョコ入れるCー!」
「ちょっジロー待っ…ほんまに入れよった!」
「ハッ、なら俺様はキャビアを入れるぜ。これなら文句はねーだろ!」
「一気にリッチさが上がったで!?いろいろ文句あるわ…なんでないと思うん…!?」
「あーずりーよジローも跡部も!なら俺も納豆入れる!」
「それだけは…!入れるの早いわ!ちゅーかどっから出したん岳人」
「なまえさん二回目食べますか?」
「なんかお腹いっぱいでね。私の分まで食べて良いよ鳳くん」
「ふふ、はい」
「のど渇いたな…長太郎、みょうじ、若、なんか飲むか?」
「すみません、俺はお茶で」
「あっなら俺もそれでお願いします!」
「えーなにあるの?」
「ん、オレンジあるぞ」
「ちょ、ほんであの子らはなに人の冷蔵庫勝手に開けてんねん…ええけど…」
「忍足ツッコミに忙しいねー」
「いや滝…笑ってないで助けてや。…お、できたで。っちゅーかいろいろ混ざってんやん…ロシアンルーレットやんか…」
「俺様のインサイトは誤魔化せねえぜ。これが納豆だろ」
「やるねー」
「まあ臭うしな」
「俺もわかる、これチョコだぜ。ジロー、食ってみそ?」
「なんか見た目まずそうだからEーや」
「ジローくん自分で入れといて…」
「宍戸さん、これなら大丈夫そうですよ!」
「よくわかんな長太郎…」
「…うっ」
「うわ!日吉くん大丈夫!?」
「…誰ですか梅干し入れたのは…」
「ウス…ごめん…」
「樺地は悪くねえ、入れろって言ったのは俺様だ!」
「そんなのわかりますよ」
「こんなんたこ焼きやあらへん…」
「まあまあ、なかなかできないよね」

ブツブツ文句を言いながらもなんだかんだ一番忍足くんが楽しそうである。といっても、片付けは忍足くん以外みんなコキ使わされてしまうのだけど。




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