庭球番外編 | ナノ

▼ ようするに思春期



思春期的な話ですので、温いですが苦手な方注意。




部活終わり。部室の長机のお誕生日席の場所に座り「これを見ろ」と跡部が机の上に出した物。?を浮かばせながらそれを覗きこんだ向日と宍戸はそれを確認すると一気に物からズサァッと離れた。

「なーなななんだそりゃ!」
「なんでこんな…もの…!」
「なんで学校に持ってきてんねん」

一緒に覗きこんだ忍足が呆れ顔で跡部を見ると、彼は「俺様が持ってくるか」と鼻で笑い「授業中に野郎が騒いでいて煩かったから没収した」続けた。
部室の長机に堂々と出ているのは、水着姿のグラビアアイドル雑誌である。表紙からして際どい。
興味なさそうにぱらぱらめくる跡部に、忍足は苦笑をもらす。

「没収した…かて、返さなあかんちゃうの」
「返そうとしたが、跡部も読んで勉強しろと強引に押しつけられてな」
「誰やその勇者…」
「おっおい!だからってなんで今出すんだよ!」
「そうだぜ!跡部一人で家で見ろっつの!」
「興味あんだろ?てめーらの考えはスケスケだ!」
「うるせーよ意味わかんねーよなんだよそのドヤ顔!」
「うわああ投げんな跡部くそくそ!」

ニヤニヤしながら跡部は雑誌をうろたえる向日と宍戸に投げると、反射で受け止めた宍戸は開かれた雑誌を直視してしまった。「うおおぉ!」ビターンと床に投げつけられる雑誌。

「おい宍戸、物を粗末にしたらあかんやろ」
「うっうるせえ!だからなんでここに持ってくんだよ!」

雑誌を拾った忍足は跡部の隣に座り机に雑誌を開くと、ぱらぱらめくり始めた。聞く耳を持たない跡部と忍足に宍戸と向日は顔を赤く染めながら睨むしかない。近寄れないのだ。

「うわ、この子ええ足しとるわ」
「アーン?…そうか?」
「このスラァッとしたラインがええやん。せやけど俺的にはもうちょい太ももが…」
「なんだコイツ。えらく童顔だな」
「のわりには胸でっかいやん…ギャップやな。がっくん来ぃや、胸大きいで」
「なっ…んだよその釣り方!」

さらに顔を赤くさせた向日はうつむいたが、しばらくして忍足の背後に回って雑誌を覗きこんだ。その行動に宍戸がまた後退る。岳人まで汚染されちまった…!

「う、わ、マジだ。でか…」
「肉付きええ子なんやな。腰周りもやらかそうやし」
「…故意に誘ってる顔が趣味じゃねぇな」
「なんや跡部は誘い受け嫌いなん?」
「どちらかといえば強気な表情のやつがいい」
「はあ?んなの可愛くねーじゃん」
「それがいいんだよ」
「意味わかんねー」

お前らが平然と話してることが意味わかんねーよ。宍戸は思ったが言わずに目を閉じておとなしくしていた。早く帰らせろと。
ちょうどその時「賑やかですね」と鳳と日吉がロッカールームから出てきた。「今これ見とってな」忍足が雑誌を開いて2人に近づく。
それを視界に捉えた2人。沈黙が広がる。

「うっうわっ!」

最初に動いたのは日吉で、雑誌を払うと宍戸と同様盛大に後退った。その顔は耳まで真っ赤である。ニヤリと笑う忍足と、自分よりも激しい反応にからかい心が買った向日は、雑誌を持って日吉に迫っていった。「日吉の好みはどの子や?」「やっぱ胸だろ?」「ちょっ…やめ…やめろ来るな!」騒がしい3人に比べ、静かな鳳に宍戸がチラ見すると、鳳は呆然と固まったままだった。

「俺はこの子〜」
「うおわっジロー!」
「ん、なんやそこまでかわええ顔しとらんやん」
「だったらこっちの方がいいだろ!なっ日吉!」
「だっから…やめ…!」
「おお、すごい際どいチラリズム」

急に響いた女の声に皆ぴたりと止まる。バッと振り向いた向日と忍足の先には、ジローの横であっけらかんとした表情で雑誌を覗きこんでいるみょうじがいた。「「うおわ!」」とあわてて雑誌を閉じるもみょうじはバッチリ見たようで。

「い…いつから…」
「え、今。ジローくんと樺地くんと一緒に来て…」
「おい樺地にんなもん見せんな」
「せや、純粋が故に吸収してまう…」
「うわああいやだ樺地くんにはこの人らみたいに汚れてほしくない樺地くん目つむって!」
「ウス」
「失礼だなみょうじ!」
「てかてか、なんで急にそーなったの?」
「…これは…」
「いやあ一回見てみたいと思ってたんだけど…まさか君たちが見てるとは」
「違う違うこれ跡部のだから!」
「俺のじゃねぇよ。んな趣味の悪ぃ」
「え…ちゅーかなまえさん引いてへんの…?」
「いや別に。私も興味なくないし、みんなも思春期だし…ね、宍戸!」
「なんで俺だよ」
「それにしてもすごいな…いいなあこんな体になりたいもんだよ」
「………なまえさんもなまえさんでええとこあるで」
「えっなにそのフォロー。ていうか跡部くんも見るんだね、なんか安心したわ」
「アーン?どういう意味だよ。…つかお前それ見て勉強しろ」
「Aー俺はなまえのままでEーよ」
「そっ…そうだぜ、みょうじにそういうのはいらねっての」
「ジローくん…宍戸…!」
「うううわあ!やべこのページ激し!侑士見てみそ!」
「え、なんなん…おー、こんなとこまで。ほら日吉」
「だからなんで俺にふるんですか!」
「えっなになに」
「みょうじは見なくていいんだよ!」
「そうだみょうじ見るな、教育に悪い」
「跡部くん自分で見ろって言ったくせに…!」
「あっあの、それ俺ら中学生が見ていいものじゃないと思うんです!」
「なんや鳳今さら…こういうの慣れんと男子トークについていけへんで」
「そんなトークないですから!」

やっと動けた鳳も交え、またワイワイと賑やかになる部室。7分後に滝が部室に様子を見に来るまで騒がしかったとかなんとか。




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