クッション


 ふわぁ、っと小さな声がした。何かと思って音の方向を見る。
「石田?」
 わずかに潤んで見える目を細めて、雨竜は呟く。
「眠い……」
「は?」
 眠い、ともう一度呟いて、コテンと頭を一護の肩に乗せた。突然のことにぎょっとして腰が引ける一護を雨竜はホールドする。
「石……田?」
 どうしたことだろう。珍しい。
「うるさいなぁ、君」
 そう言いながら、雨竜の腕から力が抜けて崩れ落ちていく。ずるずると脱力した雨竜は、そのまま一護の腿に頭を落とす。
「石田さん?」
 どうした? と髪を梳きながら尋ねる。いつもなら邪険に振り払われるのがオチだというのに、今日は気持ち良さそうにうっとりと目を閉じたままだ。
 寝不足だったのだろうか。こんなに無防備な姿を見せられると、いつも以上に「護ってやりたい」なんて欲求が頭をもたげる。
 言ったところで雨竜は喜ばないし、嫌がられてキレられるのは想像に難くない。だから黙っている。
「寝ちまうのかよ」
「僕、クッションないと昼寝出来ないんだよね」
「クッションて……」
 雨竜はらしからぬぼんやりした口調で呟いた。
「丁度良い堅さのがなくてクッションジプシーしてたんだけど――君の膝、悪くないなぁ。僕の昼寝用クッションにならないかい?」
 それって、石田の寝顔見放題ってことか。悪くはない。悪くはないが、安易に頷くのも癪だ。
「おいこら。俺の膝枕は高いぞ」
 そんなことを言ってみると、雨竜はうっすら目を開けて一護を見てかすかに笑って。
「うん……今度僕も膝枕してあげるから……」
 それで勘弁して、と言いながら雨竜は完全に夢の中へと落ちて行った。一護は、そんな雨竜の髪を優しく撫で続けていた。





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より、お題「クッション」




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