Smiley Skeleton
ダイジェストペパより



注意・エロ表現皆無です。





 「人を支配するには――」
 男は嗤った。
「苦痛が良いのか、それとも快楽が良いのか」
 心底愉しそうな顔で言って、手を挙げる。

「お前ら、どっちだと思う?」

 その手に誘われるように突出してきた物体は透明なゼリー状で、球形の本体のような部分から何本もの細長い腕のような足のような物が生えている。ウネウネと蠢くそれは、真っ直ぐに二人に向かってきた。

「石田!」
 咄嗟に雨竜を背後に庇う。
 だが、そんな一護を嘲笑うかのように伸びた足は大きく上へと方向を変える。つられて見上げる二人の身体の上に、粘度の高い液体が被さって来た。
「なっ」
 何が起こったのか解らない一護は驚愕の声を上げる。雨竜は、声を上げる暇もなく絡め取られて高く持ち上げられた。
 引き離される瞬間、雨竜が一瞬伸ばしかけた手を引っ込めたのを、一護は悔しい思いで見詰めていた。
「っげ、なんだよ、コレ」
 ふと足元を見れば自分にも腕は伸びてきている。宙で逃れようともがく雨竜に気を取られていた一護は、自分にもそれがせまってきていることに気付かなかった。
 まとわりついてきた感触は生温く、湿り気も帯びて肌に張り付いてくる。流動性のあるそれは服の隙間からも関係なく潜り込んで肌を撫でた。
 ――気色が悪い。
 一護の肌が粟立った。

 ニュル、と肌を撫でた触手が襟元から顔を出す。嫌悪感を隠しきれない雨竜の口唇をなぞって割り入って来ようとする。頑なに進入を拒んでいると、別の腕が腹を擦ってきた。
「ひ……ッ」
 思わず声を上げた雨竜の口に、柔らかいものが入ってくる。それは甘ったるくて、青い臭気を放っていた。

 +

「なぁ、一護」
 耳元に男が囁く。
「どうよ、あんなの見せられる気分は」
 男が白い手で指差したのは、触手に犯される雨竜の姿。
 おぞましい光景に視線を逸らそうとしても、身体中に張り付いたもので顔は固定され、瞼も完全には閉じられないようになっていた。
「見えるだけ、聞こえるだけってのは歯痒いよなぁ」
 ふつふつと嗤う男に怒りが増す。
「テメ……」
「あぁ?」
 男は、右目を眇めた。
「あれじゃ刺激が足りないか? だったら、俺が彼の相手をしてやっても好いんだぜ」
「止めろよ!」
 動揺を隠しきれない一護を見て、男は口唇を歪めた。

     +

 男は舌打ちして雨竜から手を離す。
「お前、一護じゃなきゃどうしても厭だって言うのか」
 ドサリと地べたに落とされたまま、雨竜は黙って見上げる。その目にはまだはっきりとした意志が残っていて、そんな目付きは男をより沸き立たせた。
「解ったよ」
 唐突に、男の声に柔らかさが増す。雨竜を抱き起こして、離れた場所に拘束されていた一護の元へ連れて行った。
「完敗だ。お前らには敵わねぇよ。あとは2人でどうとでもしな」
 背中を向けた男に安堵の表情を浮かべる2人は、見えない顔が怖気立つほどの笑みを浮かべている事に気付けなかった。




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