ああ、気持ち悪し、肌にかかる鼻息が恐怖に更に拍車をかける。



抵抗したいのに力が入らない。
本当に女であることが嫌になる。



「千聖ちゃん...はぁ、はぁ...」

「っひ...」


唇の横舐めた。
無理無理、今すぐ洗い流したい。
やだ、まって、これ本当に私犯されちゃったりせんよな??


「や、やめてや!」


警備員のおじさんはやめる気配はない。


警備員のおじさんの手が私の制服のリボンに手がかかろうとしたとき、おじさんの荒い息が響く教室に、スマホの着信音が鳴り響く。


その音に驚いたのか隙が出来た瞬間に警備員のおじさんから逃れ、スマホを操作する。


侑や!


でも恐怖で震えて上手く立ち上がれないし、上手くタップできない。


「っわ!」


後ろからおじさんが抱きつきにかかってきて私はバランスを崩しまた床に倒れる。その時に上手く通話ボタンをタップ出来たのであろう、


侑の大声が教室に鳴り響く。



「おいコラ!千聖!!お前何処におんねん!」


侑の怒っている声にさえ、安心を覚え私は我慢していたものが溢れ出す。


「なんか言えや」

「あ、あつ...む!」

「は?どないしたん?」

「た、す...ンっ!」

「千聖?」



警備員のおじさん、どこ触っとんねん!!
女子高生の素肌高いんぞ!


「...っ、ま、まって...や、触らん..っといて!」

「おい、おまっ!どこおんねん!」

「やぁ、ま、あつ...む!助けて...!」


私が助けを求めたことに焦ったのか警備員のおじさんは私の素肌を撫で回そうとする。私はそれを体全体で跳ね除けようとするも到底、力には及ばず、太腿を厭らしい手つきで撫でられて、鳥肌がたち、侑の声を聞いた時よりも遥かに大きい涙が頬を伝ってくる。



「ほら千聖上も脱ごうね」

「イヤや、やめてやぁ!」



こういう相手に泣くのはご法度だと思う。余計に興奮させる材料なのは、テレビでたまに特集されているストーカーの実際にあった実話とかいうので見たことがある。


そんなことわかってても、生理的な涙は自分の意志とは関係なく溢れ出すもので、止め方なんてわからなかった。




「.....!」


侑の声がする。


「あつ...っ!!」


侑の名前を呼ぼうとすると後ろから口を塞がれそれすらできない。


侑のであろう足音と人影が私の教室の前に現れる。



侑、私ここやで。はよ助けえ!



警備員のおじさんは侑がこの場所に来ないと思ったのか、それとも近くに人がいるこの場所で私を犯すことに興奮したのか、制服のボタンを無理矢理弾き飛ばした。



侑、侑、侑!
私ここやで、心配してんならはよ助けてやアホツム!




警備員のおじさんが私の胸元に顔を寄せてきた瞬間、鍵をかけていない方の扉が力いっぱい開けられる。


「千聖!!」

「あ、あつむ...っ!」


侑が教室の中にいるのことに気づいてくれて大きく名前を呼ぼれる。私はそれに対して一体何処にそんなチカラが残っていたんだというぐらい、驚いている警備員のおじさんの隙をついて抜け出し、なりふり構わず、侑に抱きつく。


侑は私をしっかりと抱き締め支えてくれた。


「侑、あんたヒーローなん?」
「何言うてんねん、ヒーローちゃう王子様や」





求めてたのは君でした









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