夏休みが明け、数週間。
季節は夏から秋へ移行する季節。まだ残暑が厳しい中、中間服への移行期間。
私はまだ暑いのが嫌で夏服のままやし、部活の時もジャージすら持ってきていない。
そんなある日の部活終わり。
侑と治は自主練をしていて、その他にもレギュラー陣は揃いに揃って自主練をしていた。
私はもうマネージャーの仕事は終わっていて、制服に着替えて侑と治の練習が終わるのを待つ。
ラブレター基い、ストーカーに合ってるのでは?という疑惑から部活への行き帰りは、必ず宮ツインズのどちらかと一緒に帰れというお達しが北さんから下ったのである。
やっぱり四六時中見られてる気がするというのが1番の理由だろう。
「...寒」
今晩は秋風が涼しい夜になるでしょうとか朝の天気予報で言っていたが、その予報は当たっていて、窓から入る風に身震いする。
ジャージを持ってきていないことを後悔する。
ふと横を見ると侑が脱ぎ捨てた稲荷崎のジャージを発見した。
「侑ー!」
「なんや」
「寒いからジャージ借りてええ?」
「ええでー」
侑の返事をきき、ジャージを肩から羽織った時に思い出したのは明日提出しなければならない宿題。
明日の休みに時間のうちに仕上げるかと思ったが、多分時間がない。
校舎締まるまであと10分はある!
私は思い立ったらすぐ行動ということで、侑から借りたジャージは置いてスマホだけ持ち校舎へ向かった。
校舎内は暗くて少し薄気味悪かった。
教室につき、私が机からプリントを取り出したとき、いつも感じる視線を感じ顔をあげる。
そこにいたのは警備員のおじさん。
「あ、ごめんなさい。提出物のプリント忘れてしまって...」
「...千聖ちゃん」
警備員から放たれたのは私の名前。
懐中電灯で自分の顔を照らす警備員の男性。
「...っ!」
その顔はニヤニヤしていて薄気味悪い笑みまで浮かべていた。
懐中電灯を持っていてない手でドアをしめ、教室のドアの鍵をしめる警備員のおじさん。ゆっくりとニヤニヤした顔は変えず私に近づいてくる。
逃げたい。
けど足がすくんで上手く逃げれない。
あと数メートルで警備員のおじさんの手が私に届くという所で私の足は動くが、焦ってしまい自分の椅子に躓き転んでしまった。
「焦らなくてもいいよ。今日の見回りは僕だけなんだ。僕のこと覚えてる?中学でも話したことあるよね?」
「...ッ!」
中学2年生の終わり、隣の中学にイケメンの双子がいるという話がでて、その双子の幼馴染みが私であることを聞いた1部の女子たちの間で私に対して陰湿なイジメが起こった。その時に声を掛けてくれたのが、躓き床に手をついてしまった私に跨るように立つこの警備員のおじさん。最初はただの親切心だとその時は思っていた。性的な目で見られてるなんて幼い私は分かるはずもなかった。
でも、なんでこの人私が稲荷崎に通ってること知ってるん?なんで??
恐怖で声も出なくて、私は警備員のおじさんを見上げる。
「ぁあ、千聖ちゃんのその顔いいねぇ」
しゃがみこみ私に馬乗りになる警備員のおじさんを私はこれ以上近づかないように身体を押すも、女子とおじさんの力では全く歯が立たない。
ぁあ、提出物なんて明日の朝やれば良かったんや
近いづいてくる警備員のおじさんの顔にあの時の恐怖を思い出しながら私は諦めるしかなかった。
思い出したのは恐怖
(なぁ...千聖どこいったん?)(知らん)