「千聖、朝メシ···」

「いや、朝ご飯食べたんちゃうの?」

「食ったけど足りん」

「というか私持っとらん」


私は治と一緒に朝練へ向かっている。侑はというと、私も治も起こしたが一向に起きる気配が無く、諦めて置いてきたのだ。


きっともうすぐ治のケータイに侑からの逆ギレの電話があるだろう。ちなみに私はこの時間帯は侑からの電話は着信拒否にしている。なぜなら煩いから。


「あ、飴ちゃんならあるわ」

「おん」


今日も平和だ。




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「銀!聞いてや!今日治も、千聖も俺置いて行ったんやぞ!酷いと思わへんか!?」

「侑も治も大変やなー」


朝練が終わりみんなで校舎に向かう中、侑が朝の出来事を銀ちゃんに大袈裟に言う。倫太郎はゲラゲラ笑って私の肩叩いてるからカバンで殴ってやった。


「あ、部室に忘れ物したわ!さっき行っといて!」

「おー」


忘れものなんて嘘だ。
昨日の今日だ···ラブレターなんて入っているはずもないと思ったけど、もし私宛へのものだったらと考えると絶対からかわれる!!特に侑と倫太郎!!

そんなん午後の部活に支障が出る、主に私のモチベに···。


私は4人が教室に向かったことを物陰から確認し、下駄箱の扉を開ける。


中には一通の封筒···。


宛先は、私宛···。
宛名は昨日と一緒で書いてない。


ほんと誰なんやろか···。


こんなの毎日続いたら精神的に苦痛でしかないよ。




私のその時の不安は当たり、毎日のように私の下駄箱には私宛へのラブレターが入れられることが続いた。2日に1回は双子宛てへのラブレターも混じってはいるが···。


ラブレターの内容も、部活中の私の行動が事細かに記してあって、正直部活中、特にドリンク作るために体育館の外に出た時には何処からか私を見つめる視線を感じ、秋に突入し涼しくなっている空気の中、背中に大量の汗をかくことはしばしばあった。


いや、マジで誰!?



「千聖帰るでー」

「あれ?治は?」

「治は今日発売のマクド食べに行ったで」

「侑は行かんでええの?」

「誰がお前を送んねん」


え?私を送る?
何故?


「いや、1人で帰れるけど」

「ほんまか?」

「え?」


侑は一体何を言いたいんだろうか···


「お前誰かに付きまとわれてるやろ」

「いや、されてない···」


正直、絶対付きまとわれてないとは言えない状況で、私は語尾が小さくなった。


「クラスのやつがな、お前がラブレター貰ってるところ見たって言っとたで」

「は!?」


み、み、見られてた!


「告白されたん?」

「い、いや」


あのラブレターの内容を侑に言うべきか??


いや、言ってもキモイわコイツってだけで終わりそうやな。あと、見る目ないとか言いそう···


私が迷っていると


「告白されてはないんやろ?」

「う、うん」


侑はなんでこんな自信満々で言うのやろ···


「付きまとわれてないって言うのなら、なんで千聖、ドリンク作ったあといつも顔ひきっつてんねん···」



確かに日に日に自分へ向けられる視線に気味悪くなってはいたが、体育館に戻る時には笑ってたはずなんけど···


なんでこの人でなしが気づくねん···






バレてしまっては言い逃れ出来ず


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