体育館まで来たのはいいものの、中々私は中に入れずにいた。倒れたばかりだし、勇気が出ない。




「あ!千聖平気なんか?」
「銀ちゃん...」
「みんな心配してたで」
「休ませて貰ったらだいぶ楽になった。迷惑かけてごめんな」



外に涼みに来ていたのか、体育館に戻ろうとしていた銀ちゃんに見つかった。




「いやいや、俺らも千聖に任せすぎたなって思ってん。マネージャーと言ってもまだ1ヶ月やん。慣れてるつもりでもそうでも無い時あるやんか。体育館での仕事は俺ら1年もなるべく手伝うで」
「うん、ありがとう」




少し銀ちゃんの言葉に救われた。



「あいつら怒ってなかった?」
「侑と治?」
「うん」



バレーに対して怖いぐらい真剣な2人だ。邪魔した気がした。



「逆やったで。治はチラチラ体育館の出入り口みて千聖が戻ってくるの気にしてボール見とらんし、侑なんてセットアップ乱れまくりで監督にドヤされとったで」
「...マジか」
「そんな心配しなくても大丈夫やで。戻ろうや」





あの双子の焦ってる姿とか想像したら笑けてきた。これからは適度に休憩はさまないとやな。特に生理の時は...




「監督ー、千聖連れてきましたー!」



体育館に戻るなり、大声で監督に私が来たことを告げる銀ちゃん。その言葉に反応した部員たちが一斉に私の方をみる。



え?こわっ


ただでさえみんなデカいのにこわっ



「あの、えっと、ご迷惑おかけしてしまって申し訳ありませんでした!」



もうこれ一言しかないと思って頭を下げた。



「だからあんま無茶したらあかんでって言ったやろ。人に頼れることは頼ったらええねん」
「北さん...」



ド正論だけど、励ましてくれてるんだろうな。なんだよ、稲荷崎の人たちって見たくれ怖い人多いけど、ええ人ばっかやん。



「「千聖!」」




同じ顔、私のよく知ってる2人が少し泣きそうな顔で近づいてくる。なんでアイツら泣きそうやねん!というか物凄い勢いで近づいてくんなや!



「っ、侑、治。心配かけてごめんな。あとおにぎりもありがとう。しょっぱかったけど」
「ええねん。でもお前重いわぁ...あとしょっぱかったは余計やねん!」
「は?」



今、侑、重いっていった??
私の感動返せや、コラ!確かに部活しとった時よりは少し太ったかもやけど!



「千聖嘘やで。侑の奴軽いって言っとったで」
「...治!!」




治はニヤニヤしながら侑を見とった。それに反応した侑が治に喧嘩をふっかけた。いつも通りの2人をみて、少し安心した。



「本当にありがとな。これからも頑張るから」
「無茶したらあかんで」
「うん」



侑と治は私の頭をクシャって撫で回して、ボールを触りにいった。







少し深まった絆
(あの2人、千聖に甘いよな)(そうだね)


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