「あれー高崎やん」
「.....」



デジャブ...今度は宮侑。


まだファンサービス中のアドラーズ。ファンサービスが終わるまで1階の人があまりというかほぼ居ない廊下の椅子に座って同僚を待っていると、現れた宮侑。



「侑さん知り合いですか!?」
「高校の同級生やで」



あ、すごいジャンプしてた上手な子だ。そんなに大きくないよな、やっぱ。



「治に会ったか?」
「会うた」
「ほおん...」




クソ、こいつなんか企んどるな。


「今、治におにぎり持ってきてもらうんよ」
「は?」



いやいや、それが本当ならまた宮治と会うやん。



「高崎まだ治のこと好きやろ」




双子揃ってなんで耳元で喋んねん!



「ふっふ、顔真っ赤やで。さては図星やな」





高校のときから宮侑のこの顔ムカつくねん。なんでと分かってますよーみたいな、顔。


「侑、何してんねん」
「おおー治。高崎からかとった」
「からかうなや」



さっき聞いたときより少し低い声。
宮侑とおるからか?



「こいつとおったらアホになるからこっちいこや」
「え...」
「高崎頑張りー」
「うっはいバカ宮!」




どこまで行くんやろか...。


宮治が連れてきたのはさっきよりも観客もいない通路。多分関係者が通るところ。宮侑は宮侑こ兄弟だし、出店だしてるからこういうとこ知ってるんやろか。



「連絡先」
「あ...」
「まだ登録してへんやろ...」
「うん...」




なんで教えてくれたかわからんからそのことずっと悩んで出来んかったなんて言えん。



「なんでしてくれんの?」
「...こ」
「こ?」



言え!後悔は後からしろ!




「逆になんで交換してくれたの?」
「...そっちこそなんで連絡先けしたん?」
「...」



それを聞かれるなんて思ってもみなくて私は言葉に詰まった。



「それは...」



どうしよ...全て言ったら高校のとき私が宮治好きだったって言ってるようなものだし。


「お前ら何しとん」
「...侑」



た、たすかった...


「なんや俺、邪魔したな」
「邪魔したと思うならさっさと散れやアホ」
「アホとはなんやねん治!このヘタレ!」
「は??ちゃうやアホ侑!」




...ケンカしてる。でもこれで私宮治に連絡先消したこともまだ連絡先追加したことも聞かれなくて済む。



「あの...友人待たせてるから私行くね。2人とも頑張ってな」



ケンカしているうちに逃げようと2人に背を向けたら



「「逃げんなや」」



と息ピッタリに食い止められたのであった。







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