「おい、テメェ」
「な、なんですか?」
万事屋から帰ってきてから沖田さんの機嫌が頗る悪い。
いや、万事屋を出てからか···。
私、一体なにした??
お礼回りいってただけじゃん。
沖田さんは私を引き止めた癖に一向に喋らずじっと上から下まで何かを定めるかのように視線を動かす。
いや、ほんとなに?
「お、沖田さん?」
沈黙に耐えられず私は沖田さんの名無を呼ぶ。沖田さんは喋らず私の腕を掴み自室へ入る。
「ちょっ!」
いきなり引っ張られたようなものだから私はバランスを崩し沖田さんを押し倒すかのように倒れてしまった。
「ご、ごめんなさい!」
··········
まじでこの沈黙何?
「なぁ」
「はい?」
「チャイナに胸触られたってほんとかィ?」
「え、ま、そうですけど」
え?沈黙破ったかと思ったら、さっき神楽が沖田さんを煽っていたことに対する質問だった。
「マジであのチャイナぶっ殺す」
沖田さんは舌打ちをしてそう呟く。
「女の子同士ならよくあることですし···」
私は沖田さんの気を沈めようとフォローの言葉を紡ぐが、その言葉が逆に沖田さんの気をイライラさせるとはつゆ知らず。
「名前は誰のでィ」
「え?」
「お前は誰のものなんでィ」
沖田さん鋭い目付きが私を捕える。
この眼は本当に苦手なんだけど、わかっててやってるのかな、この人···
「お、沖田さん···の?」
恐る恐る言うと、沖田さんは愛しい物を見るような瞳をし、ん、とかすかに笑う。
こういうとこ、本当にずるい。
「俺のモノなら触らせてくだせェ」
「え?」
「触らせてくだせェ」
「あ、あのなにを···?」
「胸に決まってんだろィ?」
何言ってんだ?みたいな顔をしている沖田さん。いや、普通、胸触っててって流れになる?というか、なんでこの人こんなに真剣なの?
いや、なるか?
そうか、神楽が煽ってその煽りに頭に来たのか、沖田さん。だから私のことを上から下まで観察してたのか。
「···っん」
胸に違和感を覚えると同時に自分じゃないような甘い声が漏れる。
「ちょ、沖田さん···」
沖田さんは私の反応を楽しむかのように口角を上げ、胸をやわやわと揉んでいた。
「大きいって程じゃねぇけど、触り心地ねェ」
その言葉で恥ずかしさが爆発したかのように顔に熱が集まる。絶対顔真っ赤だ。
「···んっ、ぁっ」
甘ったるい声も自分じゃないみたいですごい、恥ずかしい。
「···やわらけ」
沖田さんの唇が口元から徐々に首筋を下に伝っていく。時折、舐めたり吸われたりするので、私はどうすればいいか分からなくなってしまう。
このままだと、私貞操の危機では?
いや、付き合ったけど、まだ付き合ってすぐに大人の関係になるわけ??
「待って」
「待たねェ」
沖田さんの手が私のシャツを捲り、直に触れた時だった。
「総悟!」
土方さんの怒号が鳴り響く。
足音も沖田さんの部屋へと近づいてくるのがわかる。
「沖田さん、土方さん来ちゃう」
私は沖田さんに抗うも沖田さんは気にしない様子で肌に直に触れてくるもんだから、声が出ないように私は口を結ぶ。
「その顔···いいねィ」
バン!!!
「総悟!!···お、お前らぁあ!!」
沖田さんから逃げられないなと悟った瞬間沖田さんの部屋の襖が勢いよく開けられ、土方さんが入ってくる。その土方さんは私たちの体勢やら何かを察して、プルプル震えている。
あ、これはヤバいと思ったのはつかの間、その場で私と沖田さんはガミガミと説教を食らったのは言うまでもない。
「くそ、土方死ね」
「おめぇが死ね」
なんてやりとりを目に、今回ばかりは土方さんに感謝である。
今度デラックスマヨネーズ買ってあげよう。特別に。と思う私であった。
*リサ様
リクエストありがとうございました!
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