「あー!!まって本当に無理!」
「沙菜突然大きな声出さないでくれるかな?」
「ごめん...」
呪術高専にきて半年。
任務がなく、1年4人教室にいるときに夜蛾先生に言われたのは来週期末テストをすると...
てっきり呪術高専って呪いに関することだけやってればいいと思ってた。なんで任務がない時は補助監督や窓の人、または担任である夜蛾先生が国語やら数学やらとまるで普通の学生が行う授業をしているのだろうと常に不思議に思っていた。まさか、テストがあるなんて思わないじゃん。
「まぁ、高専卒業したら呪術師じゃなくて一般企業に勤める人もいるからね」
「な、なるほど」
「ってかこんなんわかんねぇの?」
「五条はわかるの?」
私の隣の席に座る五条はテスト範囲のプリントを覗きながら嫌味たっぷりに言う。
「ま、俺最強だから」
「勉強に最強もなにもないと思う」
「聞こえてんだよ」
五条の大きな手が私の頭を掴み力を入れる。
めっちゃ痛い。
「沙菜は何がわからないの?」
「テストなんてない!と思ってたから全ての教科がイマイチわからない」
と言う私に明らかに笑ってるけど、バカだなって思ってる傑に、「さすが沙菜」と言って笑っている硝子。五条はというと、サングラスを外して、私をじっと見ている。
「な、なに?」
嫌な予感がする。と思ったが既に遅し。
五条は私の髪を掬い、髪の毛の束に唇を落とす。
その行為だけに私の顔はきっと、真っ赤だろう。
「なぁ沙菜俺、保健体育ならめっちゃ得意だけど?」
「保健体育?」
「そ、俺優しいから特に実技に関しては手取り足取り教えてやるよ」
んん、それってどういう...
「それはイケナイな、悟」
「ひゃっ...」
「おい、傑!」
五条への言い返しを考えていると後ろから傑に抱き締められて変な声がでる。
「沙菜、保健体育の実技なら悟より私の方が優しく教えてあげれるよ」
と耳元で囁くように言う傑。
耳は弱いから本当にやめて欲しい。
「おい、クズ共。沙菜は私に教えられたいよな?同性同士気持ちよくしてやるよ」
私の机の正面に回ってきた硝子に見つめられながら言われる。
なにこれ、なんなの、この茶番...。
「しょ、硝子の優勝...」
「よし、お前らタバコワンカートンでいいよ」
まさかの賭け?
というか硝子のはヤバい。
「ごめんな沙菜」
「本当だよ、突然すぎてびっくりした。みんな悪ノリし過ぎ」
「はは、慌てる沙菜可愛かったよ」
「もう揶揄うの禁止!」
傑、胡散臭いけど多分五条よりモテそう。色気がヤバい。からかわれてるのが分かるから余計に可愛いと言われると惨めである。
「私は今から任務があるから行くよ」
「私もタバコ吸ってくるわ」
傑と硝子は教室を出ていく。
にしても傑が五条のノリに悪ノリしてきてから五条が一言も喋らないけど、後ろからはビシビシと痛いくらい視線を感じる。
「ご、五条?」
振り向くと五条は椅子に座りながら下を向いた。あ、絶対拗ねた。さっきまで絶対私の事刺すように睨んでたくせに。
私は五条の顔が見えるように五条の足元にしゃがんで五条を見上げると、まさかしゃがみ込むとは思ってはいなかったのだろう、驚いた瞳の五条を発見して思わず笑ってしまった。
「機嫌悪いね」
「お前が傑に抱き締められたからだろ」
「五条も抱き締めたことあるじゃん」
それにアレは悪ノリだ。
「悪ノリだとしても俺は嫌だったんだよ」
それは彼氏が彼女の友人関係にヤキモチを焼くようなものでは??
「何顔赤くしてんの?」
「五条が恥ずかしいこと言うから!」
「へぇー」
さっきまで凹んでたのに、優位に立てると思ったら私を攻め立てようとするのずるい。
「よし、勉強しにいくか」
「ん?勉強ならここで出来るよ?」
「は?保健体育の勉強しに俺の部屋行くだろ?」
「...っ!行きませんっ!」
そのあと硝子が帰ってきて、「教室でヤラシイことするなら部屋でヤレ」と言われたので益々五条が私の勉強を邪魔したのは言うまでもない。
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