※生理ネタ、9話以降の距離感



枕元に置いていたケータイが鳴り響く。朝起きる時間を知らせてくれるアラーム。アラームを止めるためケータイを開く。眩しい画面に眉を顰める私であるが、お腹にずっしりと響く痛みにさらに眉を顰めてしまう。


月一で来るアレだ。


それも久しぶりに重いヤツ...。


アラームを止めたはいいがなかなか起き上がれない。でも起きて準備をしないと授業に遅れちゃう。


痛み止めあったかな?


私は痛みに耐え学校へ行く準備を進める。朝ご飯を食べる時間さえツラい。
食べたらお腹余計に痛くなりそう。


今日、五条との任務無ければいいな...あっても1件で終わって欲しい。


教室に着くと私が1番着らしく誰もいなかった。私がいた時代には教室にエアコンが付けてあったが、この時はまだ教室にエアコンもない。つまり、冬に足を踏み入れたこの時期の教室は冷えきっており、私は、寒さに耐えるため両腕を抱え机に頭を預ける。冬用にブランケット買お。こんなの本格的な冬になったらまじで死んじゃう。


「おい、沙菜」
「わ、五条だ...」


あと少しで眠れそうというときに、頭の上から聞きなれた声が聞こえてくる。そう五条悟だった。


「顔色悪ぃぞ」
「うん、目の前クラクラする」
「貧血か?」
「かな?硝子たちは?」
「任務」


そっかー
硝子に痛み止め貰おうと思ったのに。



本格的にヤバい。ここまでの貧血久しぶりな気がする。


「沙菜、夜蛾に連絡したから寮戻んぞ、立てるか?」
「...無理。五条が連れってて」
「お前重いから遠慮するわ...」
「五条の、意地悪...」


体調悪いのにここまで意地悪しなくてもいいじゃんか。


本当に性格だけクズだ。


と思い五条を見ると、五条は頭をかきながら「あー、クソっ」と言いながら私に近づいてくる。


「っひぁ!」


突然、身体が浮いたことで近くにいた五条に掴まる。


胸付近と膝裏に感じる五条の手に恥ずかしくて顔が熱い。だってこれお姫さま抱っこってやつ!


「顔色戻ってんぞ」
「こ、これは、ち、違う」
「テンパりすぎだろ...」


五条は顔を近づけてきてニヤニヤする。
コイツ私が顔赤らめることバカにしてない?そう思うと腹立ってくる。


五条は私の鞄も持ち寮へ連れ帰ってくれた。


「五条...」
「なんだよ」
「五条の部屋がいい」
「は?」
「部屋に下着干してるから見られたくない」
「どうせ、スポブラだろ」


普通のブラだわ!なんて言う元気がない。


五条の胸元に置いてある手で五条の胸を叩く。今は無下限解いてるから殴れるのである。まぁ当の本人は全く気にしてないようだが。



五条の部屋に行く時、何かして欲しいことあるか?と聞かれたのでとりあえず温かい飲み物が欲しいと訴えるとホットミルクを出してくれた。


五条が作るホットミルク美味しいんだよね。今度作り方教えて貰おう。


差し出されたホットミルクは身体の芯に染み込みじんわりと下腹部の痛みを和らげてくれる。


「少しは良くなったか?」
「うん、わりと」
「なぁ、アレか?生理ってやつ?」


ダイレクトに聞いてくる五条にはデリカシーの欠片はないみたいだ。いや、分かっていたけどさ。


私はジト目で五条を見ながら頷く。



「そんなにツラいの?」
「ツラいときはツラい。今日はそれ」


こればかりは男の人の五条には絶対わからないけど、五条なりに心配してくれてるんだろうなと、クラクラする頭で考える。
やっぱ、五条。口悪くて心許した相手にしか優しさ見せないイメージだけど、こうやってただのクラスメイトを心配してくれるんだから根っこは優しいのかな?って思うと少し可愛く見えたりする。


「どうやったら治るんだ?」
「うーん、痛み止め飲むとか?今痛み止めないし、温かくしたら少しは痛み和らぐかも」
「ふぅーん」


五条は私の答えに曖昧に返事しながら私に近づいてきて私を持ち上げ自分の膝の上に横抱きにする。


「え?」
「人肌暖かいっていうだろ」
「え、え、いやそれって」


さっきもお姫様抱っこで連れてきてもらったけど、これはこれで痛みが飛ぶ。あ、うそ、じんわり痛い。


「...っ」


五条は私の肩を持ち自分に近づけ、片方の手をお腹の上に乗せる。


びっくりした。相変わらずパーソナルスペース狂ってる。
でも、お腹の上に置かれた五条の手から伝わる五条の体温がじんわりと私の身体に伝ってきてポカポカしてきた。そして生理特有の眠気が襲ってきた。


「ご、じょ...暖かい」


私は暖かさと眠気に負け五条の胸に顔を擦り寄せ瞼を落とした。







ーーーーーーーーーー


教室に入った瞬間見たのは真っ青な顔をした沙菜。明らかに体調悪いのは目に見えていてこのままここにいたらいつ任務に連れていかれるかわからねぇ。俺は夜蛾に電話し、コイツを部屋に連れていこうと、柄にもねぇ横抱きをしたら少し胸元近くを支えていた腕に柔らかい何かが当たった気がして、素数を数える。あれはきっと胸だ。


そんな時、沙菜は自分の部屋は下着を干しているからと言い俺の部屋で休むと言った。こいつマジで男の部屋に入るって分かってんのか?と問いただしたくなったが、まだ顔色の悪いコイツを見てるとそんなことは言えなくなった。部屋に戻りホットミルクを出してやれば、眉を下げへにゃって笑うコイツが可愛くて、真っ青な理由とそれの対処法を聞く。


温めるといいと言ったから俺はコイツを自分の膝の上に横抱きにし、痛いであろう腹に手を乗せる。するとコイツ、船を漕ぎ始め、俺の胸に顔を擦り寄せ、気持ち良さそうに眠ってしまった。


まじでコイツ。
俺の気を知らねぇで、ムカつくと思いながらも惚れた弱みだろう、沙菜を抱き締め額に唇を落とす。


「ぜってぇ俺のモンにしてやるから」


といい俺も沙菜の看病という名目でサボるため、瞳を閉じた。















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