高専の医務室に丸一いた私は次の日から自室で休んでいいとの許可を貰ったため、自室に篭っていた。数日間監禁されていたという理由で上層部への報告は後日になったというが、きっと夜蛾先生あたりが上手くやってくれたんだろうな。上なんて私の事なんて不気味な存在だと認識しているから、弱っていようが死にそうになっていただろうが、関係ないだろうな。


「おい、買ってきてやったぞ」
「ノックぐらいして欲しい」


もし、着替えていたらどうするんだ!この男は...


「お前みたいなやつに誰も興奮しねぇだろ」
「する人いるかもしれないのに」


五条の失礼な言葉を軽々しく流し、私は五条に頼んでいた食料等を受け取る。


前みたいに誘拐されても困るとのことで私はただいま1人で高専外に出ることを禁止されている。だから寮にいる同級生、五条に頼むしかなかったのである。


明日には硝子も傑も戻ってくる。戻ってきたら硝子には反転術式施してもらお...。


反転術式といえば、あの時私がみた夢...ううん、夢じゃなくて現実なら私は無意識で反転術式を使える可能性がなきしにもあらずである。


「ねぇ、五条...」
「んー?」


私のベッドに腰掛け、無駄に長い足を組みながら、五条から受け取った荷物を持ち立ち尽くす私を見上げる五条。


私が家主なのに...。


「特級呪物ってなに?それって持ち主とか決まってる??」
「あ?なんだよ、突然」
「この間の呪詛師がある特級呪物に私の呪力が微かにあるっていうの」
「へぇー」
「...ちゃんと聞いてる?」


私は真剣に聞いてるのに、こいつ...


「所有者ってのは聞かねぇな。特級呪具とはちがい、その呪物自体が呪いが強い。ましてや、呪物自体に意思を持っているものもあるとは聞く」



意思...


「まぁ、特級呪物の呪いは特級呪霊と同等のモノもある。両面宿儺の指とかな。あれは、封印は施してはあるものの、強い呪いだ。何処も保管だろうな。あとは変な物好きがコレクションとして所有してるかのどちらかだろうな」
「そっか...」


なら、呪詛師達がいっていた、特級呪物はなんで私の鞄に??


考えるだけで頭が重くなってきた。


「沙菜」
「なに?」
「お前が面倒なことに巻き込まれているのは確かなわけ、わかる?」
「わ、わかってる」



五条は立ち上がり、頭2個分ぐらいだろうか?私の身長より高い位置する顔を私の方に近づけてくる。


いやいや、なんで近づく?こっちは首痛くてもいいからそんなに近づかないで欲しい。


「お前、一生俺とのペアな?」
「え?なんで?」
「無茶したから」
「む、無茶したつもりはないよ」


一生ペアって何?


...っ、一生って...ずっと一緒ってこと?
いやいや、それない!


「なにニヤニヤしてるわけ?」
「し、してない」
「顔真っ赤にして説得力ねぇんだよ」


さっきよりも顔を近づけ、私の頬を大きい掌で両方から包む、五条。


「沙菜」



いつもより低くて甘い声で名前を呼ばないで欲しい。


「冗談じゃねぇから...」



五条は私の目をみて言う。サングラスを外している五条の瞳は本当に目が離せなくて、一瞬息が出来なかった。


「ご、五条...」
「特級呪物の件、俺も情報探ってみるわ」
「う、うん」
「1人で出歩くなよ」



五条はそう言い、私の部屋を出ていった。



五条が部屋を出ていったあと、私は力が抜けたように床に座り込んだ。


あんなのズルい。
五条に助けて貰ってから私の心臓は五条を見る度に動きが早くなって苦しい。


ううん、自分が死んだと悟った時から少しずつ、少しずつ、五条に心が侵食されていいっている気がして、気が気がじゃない。



私は、座り込んだまま大きなため息をついた。



それから新学期が始まった頃に、私と特級呪物の関係に関わる任務が始まるとは、誰も思ってはいなかっただろう。







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