治2 | ナノ

6.私が憧れた姿


あれやこれや忙しい日々が過ぎインターハイまでの私のマネージャー生活が終止符をうった。

明日から移動するらしく今日は早めに練習が終わった。


よし、多分これだけあれば大丈夫。


私は最後のマネージャー業のため遠征に持っていく物品の数を数えていた。


「宮崎さん、ここにおった」

「あ、北さんお疲れ様です」

「ん、お疲れさん」


どうしたんだろ、北さん。


「宮崎さん、インターハイ応援に来んの?」

「行きますよー!多分2日目になると思いますけど。私の地元で開催されますし、実家に帰りたいし」

「そうなんや。それなら治も調子ええやろな」

「え···」

「こっちの話やから気にせんといて」


北さんはそれだけきき、練習に戻って行った。


治の調子がいいってなに??



北さんの意味深な発言から数日。
私は地元の大きな体育館で開かれているインターハイ、バレーボール高校の部を見に来ていた。


懐かしいな、この体育館。


稲荷崎の試合は2試合目。


今1試合目の2セット目が終わった頃。
うわ、デュースじゃん。
仕方ないか。


チラホラ見かける稲荷崎の応援団または宮兄弟のファンと思える女性陣。双子にちなんで双子コーデしてる女の子もいて楽しそうだなと関心してしまう。少しでも可愛く着飾って、視界に入れてもらおうという魂胆なのか。


乙女ってすごいな。


「あれ、穂花?」

「あ、角名じゃん」

「治の応援?」

「治だけど、稲荷崎の応援だよー」


こいつ、私が治に憧れを持っていること気づいてこういうこと言うんだよね、大変意地悪だ。性格悪いな、きっと。


「治に会う?調子悪くて侑に怒鳴られてる」
「うーん、どうしよ。なんか気まずいからいいや」
「そっか。なら穂花がいることは伝えとくね」
「おー。あ、そうだ。これうちのお母さんからみんなにだって。よかったら食べてね」
「ありがとう」


私は角名と別れて、女子の試合を覗く。


男子とは違って流れるラリーが続くバレーをみて懐かしく思うのと同時に、男子バレーの迫力あるラリーに恋い焦がれている自分がいて、心の中になにかぽっかり穴があいたような気分だ。自分から地元の強豪校の誘いを蹴って1人で稲荷崎に行ったくせにって感じなんだけどね。


そろそろ稲荷崎の試合始まるかなと思い、私は稲荷崎の応援団とは違う席でこっそり試合をみる。


「うわぁ...」


すごい。
角名、治の調子悪いっていったけどどこが悪いんだろう。逆によさそうに見える。


侑と治のコンビネーションは練習で見てたときよりキレがよくて、楽しそうにバレーをするみんなをみてすごい泣きそうになった。


あと、一点でゲームセット、トスが上がったのは治。

躍動感ある助走とともに力強いスパイクが相手コートに落ちる。一瞬だけど、治と目があった気がした。


中学3年生の選抜大会。
試合に負けて泣いてる私の目の前に写ったのは楽しそうにバレーをしている宮兄弟だった。
そのときもこうやってスパイクを決めた治と目があって、その時この人のバレーを応援したいっと思ったんだ。







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