4.避けてた部活
あの体育館のときから、治のと距離は縮まったかと思えば実際は縮まってることはなく、私が一方的に憧れていて、たまに話すぐらいの仲。
友人曰く、恋愛感情がわかっていなくて、憧れているということにしているのでは?と言われたが、恋愛感情はないときっぱり言った。
でも、治を見かける度に私には話かけてくれないかな?とか他の女の人と喋っているのヤダなとか、これ少女漫画でよくみるやつでは??と頭の中を支配してきて、侑に不細工やなと指さして笑われるから、座ってる侑の頭を殴った。
そんなこんなで、男子バレー部はインターハイ出場が決まった。
インターハイは8月。
夏休みということもあって、バレー部に応援行くねーという女の子の声がたくさん聞こえる。
バレー、私も見たいけど見たくないなぁ。
治を初めてみたのもバレーの大会でそこで、凄いと感動して追いかけるように稲荷崎に来たもんな。でも、ここにきて、体育の授業以外、バレーしてる姿見てないのはバカなんでは?と思う。
「穂花ー!今日放課後暇やろ?」
「いや、終業式終わったら真っ直ぐ家に帰るよ」
「いや、アカン。体育館にこい」
「いや、なんで?」
「ええからこい!嫌って言うなら無理矢理でも連れて行くわ」
えっ、こわっ
なんで体育館??
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「お、行く気になったんか」
「侑に無理矢理連れていかれたら目立つ」
その言葉に笑う侑と銀島くん。
笑い事ではない。
体育館に着くと中から床とシューズが擦れる音が聞こえる。ボールを音···エアーサロンパスに匂い。
まだちゃんと中に入っていないのに、なんか泣きそう···
「穂花?」
「治···」
体育館の入口でボーッとしてたら後ろから治に声をかけられた。
うわ、練習着姿、眩しい!カッコイイ。
中学の時より筋肉ついてる。え、しんどいし、私の心臓が突然忙しく騒ぎ出す。
「そういうことか、ツムのやつ···」
「え?」
「なんでもあらへん」
何かを呟いていたが私の耳には届かない。
「穂花が来ることみんな知っとるから中入り」
「え!?なんで知ってんの?というか私なんでここに連れてこられたかわかんないんだけど」
「ツムなんも言ってへんの?」
「うん」
治に言われたのは、インハイ始まるまでの間、マネ業務を手伝って欲しいとのこと。夏場で1年が伸びきっていることが多く、マネージャーがいない稲荷崎には少しでも1年の練習時間を奪いたくないとのこと。だったらマネージャー募集すれば?と言うと、俺ら目的でくる奴が多いねんと教えてくれた。
うん、たしかに。
「でもなんで私?」
「穂花バレー上手いやん」
「え、それだけ?」
「おん」
憧れの人からバレー上手いって褒められるのむず痒いな。
「治···その子か?」
「北さんちわっす」
北さん···ミスター隙なし。
「宮崎さんやな。こっちの都合で申し訳ないんやけど、しばらくよろしゅうな」
「あ、いえ、はい!」
断りたかったけど、断れない雰囲気半端ない。
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