治2 | ナノ

10.緊急事態


あの日、侑からの電話で治は不機嫌になりながら家に帰って行った。


その日は昼間から本当に信じられないことばかりで私はまだ夢の中にいるのではないかと勘繰ってしまうぐらい。


明日もまだ先生たちの雑用あるからきっと治に会えるだろうなと思い、私はベッドにダイブし、そのまま眠りについた。



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「宮崎ー、これ体育館へ運んでくれんか?」
「先生、流石にこれは持てないです。重い」
「いやー、宮崎中学全国大会行くぐらい強かったんやろ、バレー。なら大丈夫やろって」


悪気がない先生だから何にも言えないのがツラい。


強いと言ってと私個人では無いし、チームのみんなが上手かった。ただそれだけの話。


「じゃ、頼んだで」


先生に預けられたのは夏休み明けに行われる体育祭の資料一式。いやいや、今までの体育祭の内容がびっしり書き込まれている資料は1冊だけではなく10冊もある。


「...っおも」


意を決して私は資料持ち上げたがそれそれは重い。こんなの女子に頼む量じゃない!


私はよろよろしながら階段に差し掛かる。


バランス崩したら死ぬという覚悟で私は階段を一段一段降りる。
あとちょっとで階段も終わるというときに、重い物を持ち続けていた腕が限界を迎え、バランスを崩し、6段ほど残し階段から滑り落ちた。



恥ずかしいけど、今はそれどころじゃない。
腕も痛いけど何より滑り落ちた足が異常に痛い。


今は夏休み。


校舎には部活動生はほぼ居ない。それも人数が多い吹部は大会だといっていたので校舎は楽器の音など聞こえず静まり返っていた。


どうしよ。


そんな時、私のスマホの着信が鳴った。


”宮治”


昨日から付き合いだし彼氏である。



「穂花俺ら今から昼休憩やけど、一緒にメシでも食わんか?」
「...っ」


治の声聞いたら我慢していた涙がとめどなく溢れてきた。


「穂花?どうしたん?」
「お、治...助けてほしい」
「はぁ!?泣いとるん?今どこや」
「東棟の1階の階段のとこ...」
「今すぐ行くから待っとれ」



治は電話を早急にきった。
後ろでは侑が「サム、穂花どうしたん!?」って慌ててもう部活中に本当に申し訳ないって思ってしまった。


電話が切れてからほんの5分も立たないうちに治とついでに侑も駆けつけてくれた。


私を見た瞬間治は顔を歪め、侑は私の周りに散らばってる資料をみて声を出す。


「おま、これ1人で運ぼうとしたんか!?」
「頼まれ、て...」


侑は「仮ひとつやぞ」といい、資料を集めてくれる。


「立てるか?」
「立てない。足が物凄く痛い。絶対折れてる」
「は?」
「階段踏み外した。6段ぐらい」
「ツム、俺穂花保健室連れていくわ」
「おん」


そう言うと治は私目の前にしゃがみこみ、私の膝裏と腰に手を回し、私の体は宙を浮く。


「うわっ」


私は持ち上げた治の練習着を掴む。


「あんま振動せんように動くからな」
「うん」



足が痛いはずなのに軽々と私はを持ち上げる治かっこよすぎて死にそう。


保健室に行くと保健の先生はいて、事情を話すと直ぐに病院へ連れていってくれた。


診断の結果は、骨折。
全治2ヶ月。


体育祭も参加することが出来ない。去年の体育祭は凄い楽しかった。今年も楽しみにしてたのに。


先生に元気だしてねと言われるけどもうそれどころじゃない。

しんどい。


「じゃあ宮崎さん。安静にね」
「はーい、ありがとうございました」


部活終わった治が私の荷物を全て持ってきてくれるというので私は先生が送っていくという言葉に甘えて帰宅する。


松葉杖使いにくいなーと思いながらエントランスに入ると、そこには見知った憧れていた大きな背中があったのである。












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