12:おわり。


名前と鬼灯が恋人になって数ヶ月経ち、タイムリミットである卒業の日がやってきた。
卒業式は終わったが、名前は終わってからずっと泣きっぱなしだ。

「泣きすぎですよ」
「だってぇ...もう鬼灯くんと会えないんだもん...っ」
「私はいつまでも待ってますから、さっさと一人前になって帰ってきなさ......いや、他の男とセックスさせるのも嫌ですね。やっぱ精子あげます」
「私に生殖機能はないんだよ...?知らない女と受精するんだよ?」
「それも嫌ですね...」

名前は鼻をすんすんとさせながら黙って考え込んだ。

「...ちょっと、頼んでみる」
「何を?」
「追放してもらえないか」
「また思い切った事言いますね」
「鬼灯くんと一緒にいたいもん...」
「.........」
「あ、照れた?ねぇ照れた?」
「うるさい」

鬼灯は名前から顔を背けてそう言った。
二人が顔を合わせたのは、その日が最後となった。


そして時は過ぎ、鬼灯は大学を卒業し、社会人になった。
だが待てども待てども名前は鬼灯の元に帰ってこない。

「(他の男に夢中にでもなってるんですかね、私の時みたいに)」

最近はそういう風に捻くれた考えも持つようになってしまった。

「(こっちは彼女も作らずホモ疑惑まで持たれたというのに...)」

トントン、と自宅のマンションの階段を上る。
自宅は名前がいつ帰ってきても良いようにと、就職先が遠いところになってしまっても引っ越さなかった。
モヤモヤと名前の事を考えながらハァ、と溜息をつき廊下を歩いていると、自分の部屋の前に人がいる事に気が付いた。
ふ、と顔を上げると、そこには大人びた名前が立っており、鬼灯は目を見開いた。

「...遅くなって、ごめんね?」
「...本当です、遅過ぎます」

扉の鍵を開けて名前を中に入れ、鬼灯は中に入って鍵を閉めた途端名前を抱き締めた。

「今まで何してたんですか、このお馬鹿ちん」
「...色んな男の人の所を転々としてたんだけどね、全部...ダメだった」
「ダメ?」
「できなかった。したくなかった。鬼灯くんとしかできな...んっ」

全てを言い切る前に、鬼灯が名前に口付けた。

「貴女のせいで5年近くセックスしてないんですよ?」
「え、えぇ!?」
「ホモ疑惑まで持たれてるんです。どうしてくれるんですか?」
「ど...っな...なんでしなかったのさ...」
「なんでって...貴女を待っていたに決まってるでしょう」
「っ......」
「なので、させてもらいますよ」
「や、ちょっ...!」

鬼灯は名前を抱えて布団まで運び、優しく下ろしてから跨がった。

「まって!近況とか話すこと色々あるでしょっ...!」
「全部あとです」
「くっ...このケダモノめ...っひゃん...!」

この後鬼灯が満足するまで名前は頂かれた。
避妊具はもうしなかった。


おわり。
(で、結局どうなったんですか?)
(追放してもらいました)
(それは良かったです)



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