※R15くらいの表現有り


ある日のこと。
何度も何度も交わり、鬼灯の精液もいい加減出なくなってきた頃。
ふと名前を見ると半分意識を失っていた。

「名前さん」
「ん...」

ペチペチと鬼灯が名前の頬を叩くと、名前は薄っすらと目を開けた。

「そろそろ休憩にしましょう」
「休憩って......休んだらまたやるんですか...?」
「元気があればやります」
「...鬼ってそんなに性欲すごいんですか?」
「さぁどうでしょう。少なくとも私は名前さんだからこんな事になっているだけですよ」

鬼灯は名前の上から退き、クタクタになっている名前を抱きかかえてお風呂場へ向かった。
汗やら白い液やらで汚れている名前の体を優しく洗い流し、温かいお風呂に入れてあげた。
名前は気持ちいいのかうっとりと目を閉じた。
鬼灯も自身の汗を流していると、名前が小さな声でポソッと何かを言った。

「え?なんて言いました?」
「......すき、って、言ったんです」
「.........」

鬼灯はシャワーを止め、浴槽に一緒に入って名前を後ろから抱き締めた。

「あのね、こうやって終わった後も優しくしてくれるとこ、すごく好きです」
「私も好きですよ」
「うふふ。はい」
「あんまり私を喜ばせないで下さい。また反応してしまうでしょう」
「元気すぎですよ」
「貴女だからです」

しばらく二人でゆっくりした後、お風呂を上がってベッドに寝転んだ。
もう明け方だ。
仮眠を取ってもう少ししたらまた地獄へ戻らなければならない。

「どこに居ても何をしていても、貴女の事が頭から離れません。いっその事、首輪でも付けて一日中私の傍にいてもらいましょうか?」
「...鬼灯さんになら、そうされても良いです」
「そんな事言ってると本当にしますよ」
「良いんです。ずっと鬼灯さんと一緒に居られるなんて、幸せ以外の何物でもないです」
「そんな事をしたら私の立場が危うくなってしまいます。
...逆に私がいない間、貴女が身動き出来ないように縛り上げて、何も見えない、何も聞こえないようにしたいですね。そうすれば私のことだけしか考えられないでしょう?」
「鬼灯さんは心配性ですね」
「貴女が先日別れたいとか言ったからでしょう」
「...そうでした。ごめんなさい、もう言いません」
「...よろしい」

名前は目を閉じて鬼灯に擦り寄った。
眠りたくはないが疲れもあってかやはり少し眠いようだ。
うとうとしながら名前は口を開いた。

「...好きなのに、一緒にいられないのが...つらいです」
「...貴女が死ねば一緒にいられますよ」
「でも、殺してはくれないんですよね?」
「現世の人間に手を出す事はご法度なんです」
「.........」
「拗ねないで下さい。中出しして子供を出来させないだけ褒めてほしいです」
「...そういえば、どうしてそうしないんですか?」
「貴女との子供は欲しいですが、作ったところで貴女にも子供にも一週間に一度しか会えません。それは少しつらいです。貴女が死んでこちらへ来たら好きなだけ出しますよ」
「...肝に銘じておきます」

ふふ、と名前は小さく笑って、そのまま眠りについた。


次に名前が目を覚ますと、隣に鬼灯はいなかった。
名前は毎週その状況になる度に、ああまた行ってしまった、また来週まで会えないんだ、と悲しい気持ちになる。
だが鬼灯もすんなり帰っているわけではない。
後ろ髪を引かれながらも帰らなければならないと気持ちを抑えて名前の元を離れているのだ。

「(私が死ぬまで、ずっとこの状況は変わらないんだ)」

名前は眠気が残る頭でぼんやりとそんな事を考えた。


「名前最近元気ないね、大丈夫?」
「うーん...どうだろう」

そんな名前を見兼ねてか、昼休憩を取っていると仲の良い同僚が名前に声を掛けてきた。

「何か悩み事?」
「...まぁ、ちょっと」
「どうしたの?私で良ければ聞くよ?」
「.........」
「加々知さんとのこと?」
「...うん」

名前は手元のお弁当を見つめて溜息をついた。

「...もし、さ。彼氏と遠距離恋愛で、一週間に一度しか会えなくて、連絡も取れなくて、私が彼の元に行かなければ一生その状況は変わらない、ってなったら...どうする?」
「...それはなんとも悩む質問だよね」
「うん...」

同僚は落ち込んでいる名前を見てうーんと考え、真剣に向き合って答えた。

「本当に相手のことが好きなら、仕事辞めてでも彼氏のとこ行くかもしれない」
「本当?」
「でもそこまで好きじゃなければ、今の自分の生活や仕事を取って別れるかな〜。じゃないと将来性もないし」
「...そうだよねぇ」
「名前はどうなの?」
「...好きだよ、一緒にいたい」
「じゃあやる事はひとつじゃない?私は名前が辞めたら悲しいけど名前の恋は応援するよ!」
「...ん、ありがと」

さよなら、と心の中で思いながら、同僚に感謝の気持ちを口にした。



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