「わぁ〜っ...!」

丁は感嘆の声を上げた。
目の前にはたくさんの動物達が佇んでいた。

「どう?すごいでしょ?」
「すごいです!大きなどうぶつがたくさん...!」

名前は走って行ってしまいそうな丁の手をしっかりと握りしめ、ゆっくりと見て回って行った。

「あの首のながい生き物はなんですか?」
「あれはねー、キリンさんっていうんだよ」
「生きるのに大変そうですね...」
「現実的なこと言うね丁くん...」
「あれはなんですか?」
「あれはね、ゾウさん」
「はなで食べ物をとって食べた...!」
「面白いよね〜」

どの動物にも丁は興味津々だった。
名前は姉というより親になったような気持ちでニコニコと丁を見つめ、どんな動物か聞かれれば知っている知識を答えてあげた。

「この世界にはいろいろな種類のどうぶつがいるのですね...」
「ここにいる動物なんて世界にいるうちのたった一握りだよ。世界にはもっともっとたくさんの動物がいるんだよ〜」

そう話しながら歩いていると、檻の奥でガオォ、と何かが鳴いた。
丁はびくりと体を震わせ名前の後ろに隠れた。

「いい今のはなんですかっ...!?」
「あれはライオンだねぇ」

そっと名前の後ろから顔を出し覗き込むと、顔の周りが毛で覆われた動物が歩いていた。

「ライオンはねぇ、肉食動物だから場合によっては人間も食べちゃうんだよ。ガオ〜」
「や、やめてくださいっ」

ライオンの真似をして手を構えると丁はまた後ろに隠れてしまった。

「(めっちゃかわいい......)」

そう思いながら歩いていると、ふれあいコーナーの看板が目に入った。

「丁くん!うさぎさんと触れ合えるって!行ってみよ!」
「うさぎとはどんな動物ですか?」
「うーんなんていうのかな...草しか食べない草食動物?すごくかわいいよ」
「では行ってみたいです」
「うん、行こ」

ふれあいコーナーに入ると、たくさんのウサギ達に混じってたくさんの子供達がいた。

「はぐれないようにね」
「はい」

飼育員のお姉さんに案内されて一匹のうさぎの前に立つと、丁は微動だにしないウサギをじっと見つめた。

「はな以外うごいてません...本当に生きてるんですか?」
「あはは、生きてるよ〜」
「ゆっくり頭を撫でてみてね」

そうお姉さんに言われた通り、丁はゆっくりとウサギの頭を撫で始めた。

「うわ、」
「かわいい〜」

撫でられ慣れているのか、撫でてもなお微動だにしないウサギを丁は不思議で可愛いと思った。

「もふもふです...」

ウサギを優しく撫でる丁はとても愛らしかった。
ウサギは撫でられてうっとりとしている。
やがて時間になり、次の客が来たので丁と名前は外に出された。

「かわいかったねー」
「はい、とても」
「そろそろお昼にしよっか」

名前は近くのベンチに腰掛け、持ってきたお弁当を広げた。

「わぁ...おいしそうです」
「ふふ。召し上がれ〜」

お弁当には名前お手製の色とりどりの料理が入っていた。
丁はぱくぱくとしばらく黙って食べていたかと思うと、一通り食べた後口を開いた。

「名前さんはいい奥さまになりますね」
「えっ?そうかなぁ」
「料理じょうずですし、面倒見もいいですし」
「えへへ、ありがとー。いい旦那さんが見つかるといいなぁ」

二人はお弁当を堪能した後、残りのコースを見回って楽しんでから帰宅した。

丁は歩き回って疲れたのかすぐに寝てしまった。
名前はそんな丁を微笑ましく思いながら就寝した。



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