わたしには今大きな悩みがひとつある。


「名前ちゃん、ぼくと結婚しよう」
「いいえダメです!名前さん、オレとお付き合いしてください!」

「…はぁ」


わたしはみぬきちゃんのマネージャーをしている。
元は芸能人のマネージャーをしていたのだが、つい先日その人が引退してしまい、今はひょんなことから知り合った小さな女の子のマネージャーをしている。
小さな、といってももう15歳だったか。


「みぬきちゃん、行こっか」
「名前さん、いいんですか?放っておいて…」
「うん。いつものことだから」


そう、その悩みとは。

二人の弁護士(片方は元・弁護士)に求愛されているのだ。
二人の間にちょうど挟まれた年齢であるわたしには、そう簡単にこっち!と言えるわけもなく、そもそも彼らも彼らなりにきっと真剣なのだから、どちらにせよ簡単にごめんなさいもよろしくお願いしますも言えないのであった。

みぬきちゃんを迎えに行く度繰り広げられるこの光景。
最初は恥ずかしかったものの、今はもう慣れてしまった。





「オドロキくん、いい加減諦めたら?」
「なっ!諦めませんよ!そっちこそ早く諦めて下さい!」
「若い。若いよオドロキくん…」
「ありがとうございます」
「もちろん悪い意味でね」
「なんですってェエエ!」
「キミ、年上を落としたことあるの?」
「ぐっ…」
「それに、経験もなさそうだし…」
「な、ちょ、失礼な!オ、オレだってその…女の子の一人や二人…」
「うん。じゃあ名前ちゃんはぼくがもらうね」
「あッ!!」
「さー仕事仕事。オドロキくん戸締りよろしくね」


パタンと閉まったドアを見つめながら王泥喜は思った。
やっぱり、こんな子供よりも、大人な成歩堂さんの方が…。

ぶんぶん、と頭を横に振ってから、気を取り直して戸締りを始めた。



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