4
「なぁ、成歩堂」
いつになく真剣な顔でやってきた矢張は、真剣な口調でボクに語りかけた。
「珍しいな事務所に来るなんて。また女の子にでも振られた?」
「ちょっと見て欲しいモノがあんだ」
「なに?」
矢張はちょっと借りるぜ、と弁護士時代から置いてあるパソコンを開き、検索エンジンに「純愛☆ぷらとにっく 風俗」と入力しはじめた。
「おまっ…職場のパソコンで何を…っ」
と言いかけて、ふと先日の光景が蘇った。
ボクの知らない、彼女の姿。
「まあまあ。ちょっとこれ見ろって」
先程検索した純愛☆ぷらとにっくのサイトだ。
トップページにはいかがわしい写真や単語が並べられている。
こんなところみぬきに見られたら…
「呼ぶなら一人でしてくれよ…ん?」
トップページの「店長イチオシ」の欄に、見覚えのある写真を見つけた。
「これ…」
写真をクリックするとその子のプロフィールページへ飛んだ。
得意技:3点攻め、フェラ
性感帯:探してね♪
など…再びいかがわしい写真とともにいかがわしい単語が並ぶ。
が、それどころではなかったのだ。
ぼんやりとモザイクこそかかっているものの、これは間違いなく彼女だった。
ポールダンスをやるに相応しい、引き締まった身体と、豊満な胸と、なにより決定的だったのが腹部の黒子だった。
そう、彼女の腹部には黒子がある。
常連やファンがこれを見たならば、一発で彼女とわかるだろう。
ピースがかちりと嵌る音がした。
「オレ、名前ちゃんのファンだけど彼女いるし。あとはどうするかは自分で決めろよ」
矢張はボクの気持ちと彼女との関係を知った上で言っているのだろうか。
「…どうしてボクが」
「とぼけんじゃねーぞ成歩堂!このマシス様はなんでもお見通しなんだよ!」
「…はは、さすがだな、矢張」
感謝するよ、と言い残してボクは事務所を後にした。