夢をみた。

成歩堂さんが抱きしめて大丈夫だよ、と言ってくれる夢。
曖昧だからそれしか覚えていないし、何に対して大丈夫と言っていたのかはわからないが、わたしは彼の腕の中で泣いていた。





ふと目が覚めると電気がついていた。
あれ、電気なんてつけたっけな、と、起き上がると、まだ薬の抜け切らない頭が痛んだ。


「っううー…いま何時だ…」


頭をおさえながら壁の時計に目をやると、短い針が9の文字を過ぎたところだった。
ほぼ半日眠りについていたということか。
おなかすいたなぁと思い、ベッドを下りようとしたところでやっと異変に気付いた。
明らかにもう一人ベッドに入っているのだ。
恐る恐る枕元に目を向けると、水色のニット帽が目に入った。


「え、成歩堂さん…?」


なぜ彼がここに、しかもベッドの中で一緒に寝ているのか、記憶を探っても出てこなかった。
もぞ、と彼が動いて、目を開けた。
起き上がっているわたしを見て、ああ、おはよう、と声をかけてきた。
おはようございます…と答えるが、状況がサッパリ把握できない。


「なんでボクがここにいるのかわからないって顔をしているね」
「すみません…」
「じゃあベッドから落ちたことも憶えてないんだね?」
「え、落ちたんですかわたし」
「落ちてたよ。ボクとも会話した」


やらかした、と思った。
意識がないまま行動したり記憶がなくなったりすることは知っているが、まさかその時に彼が来てただなんて。
彼はのそりと起き上がって、こう言った。


「さあ、意識も戻ったところで説明してもらおうか」
「あ…」
「今度は言えないとは言わせないよ。救急車呼ぶのも断念してあげたんだから」
「す、すみません…ご迷惑おかけして…」
「死ぬんじゃないかってハラハラした」
「こ、これくらいでは別に…」
「じゃあなんであんなことしたの。もっと自分を大事にしてよ」
「…全部、嫌になっちゃって」
「うん、ゆっくりでいいから話してごらん」


そう言うと、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -