ことのは3(不知火ゲンマ)


どうしたのだろう?



一体、彼は何に驚いているの…?



私の名前を聞いてから、さっきまでの冷めた顔には
明らかに焦りの色が浮かんでいる



「あの…」



もしかして私の一族に何かあったのだろうか?



「……」



未だ黙ったままの彼に私は何かが引っ掛かった




…何か、何か忘れている気がする




大切な何かを















正直驚いた



まさか“あの一族”のやつだったなんてな…



口から落ちそうになった千本を咥え直して
俺は不審な顔をしているそいつに素直な疑問をぶつけてみる




「…どうして生きている?」

「えっ?」



…今日は驚く事ばかりだ



「お前…もしかして知らないのか?」

「…何を?」



本当にこいつは“あの出来事”を知らないのか?


一体こいつに何があったのかと疑問も浮かんだが
まずは“あの出来事”を教えてやるべきだろう


決して明るい内容ではないそれを
俺はゆっくりと唇を開いて告げる




「お前の一族は……滅亡している」

「っ!?」

「信じ難いかもしれねぇが、事実だ」

「う…嘘でしょ?」

「……」




黙ったまま無言の返事をする俺を見ると
あいつは酷く顔を強張らせた



「そんな…嘘…」

「こんな嘘はつかねぇよ」

「嫌だ…嘘でしょ…」

「…いい加減現実を受け入れろ」



その言葉にあいつは目を見開くと
突然、体が斜めに傾いた



「!?」



フラリと倒れる体を支えれば
抱えた腕からは小さく震えている振動が伝わってくる




「…今日は、もう休め。火影様の所に行くのは明日でいい」

「……」




傍にあった布団をかけてやると
あいつは無言のままコクリと頷く




聞きたいことは沢山あるが、今はそっとしといてやろう…




俺は重い気持ちのまま部屋を後にした



















不覚だった




「チィ…」




翌朝、あいつの様子を見ようと部屋を覗けば






物抜けの殻だった











To be continue...



Back Top








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -