ことのは2(不知火ゲンマ)

遠くなる意識の先に見えたのは




懐かしい故郷




「やっと…やっと帰って来r…」




安堵と共に意識が途切れた




冷たい雨が降ってくる…

















「ん…」



薄っすらと目を開ければ
天井が見えた



「ここは…?」

「やっと起きたか…」

「!?」



突然、男の声が聞こえたので思わず身構える



「ったく…助けてやった恩人にその態度はひでーな」

「あなたは…?」



そばに居てずっと見張りをしていたのだろうか?
私の寝ていたベットのすぐ向かいにあぐらをかいて座っていた男は
面倒くさそうに立ち上がると
口に銜えている千本を揺らしながらぶっきら棒に答えた




「…人に名前を聞く時は、まずは自分から名乗るべきじゃないのか?」



後ろに装着されていて見難いが、薄茶色の髪には額当てが着いていた



「…忍者なの?」

「人の話聞いてるか?」



男の口調にもだんだんと力が入ってきた為
いつでも反撃が出来るよう腰のポシェットに手を伸ばした…
その時、私はやっと今の自分の状況を把握したのだ



「えっ!?」

「…何だ?」

「き…」

「き?」

「きゃあああっ!!!」

「はぁっ!?」



ふ、服が変わってるー!?


私の忍者服は大きな水色のパジャマに変わっていた



「この変態っ!」

「お前…いい加減にしろよ?」



ズカズカと歩み寄ってくる恐怖に
成す術も無く、声にならない叫び声を上げながら後ずさりをした



「嫌…嫌…嫌ーっ!」

「…てめぇ!」


伸びてくる手の恐怖に
もう駄目だと目を瞑って覚悟を決めていたが



「いひゃいっ!」



痛みは予想外の所に走ったのだった



「お前が雨の中倒れてたからいけねぇんだろーが!
倒れてる人を濡れたままベットに入れる奴が何処にいる!?」



い、痛いっー!
ほっぺを離してー!!



「ったく…何なんだこいつは」



そう言って大きなため息を吐くと
つねっていた手をやっと離した

私はすぐさまその男から離れると
布団を自分に引き寄せてもぐり防御体制を整える



「見たの…?」

「ん?」

「だから!…見たの?」



顔を赤らめて言う姿に、言葉の意味をやっと理解したのか
その男は少し顔を逸らすと



「…見てねぇよ」



と答えた



「本当に…?」

「あぁ…」

「ほんとの本当に…?」

「あぁ…」

「ほんとのほんとの本当に…?」

「あぁ…」

「ほんとのほんとのほんとのh…」

「いい加減にしねぇとまたつねr…」

「あっ!」

「…今度は何だ?」



面倒くさそうな態度をしてはいるが
何だかんだ私の話を聞いてくれる

この人、意外と優しい人なのかも…



「あ…いや、カルが居ないなぁって…」

「カル…?」

「うん、白い猫」

「…もしかして、これか?」



そう言って、自分の足元を指さした

















「…カル!?」



そこには、男の足元で気持ち良さそうに寝ているカルが居た


私以外の人にはなかなか懐かないあのカルが…
何なの…この人?



「やっぱりお前の忍猫だったのか?」



男はカルを抱き上げて私の傍に置きながら尋ねてきた



「うん…。大切な相棒」

「そうか…」



そう言うと、男は瞼を閉じてゆっくりと息を吐いた



「お前にはいろいろ聞かなきゃならねぇことがあるな…」

「え…?」



男は目を細めて、刺すような視線で私を見た



「もう一度聞くぞ…お前の名は?」

「…空ノ華子」

「え…?」



私の名前を聞くと、男の顔は一瞬にして驚きの表情に変わった



「…?」

「ま、まじかよ…」







To be continue...



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